身近になったSNSの存在……“客テロ”動画に法的手段! 弁護士が解説

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迷惑行為を撮影した動画をインターネット上にアップする若者の「悪ふざけ」が後を絶たない。「教えて!goo」にも「バイトテロやらかしたバイトに数千万円の損害賠償訴訟。その後どうなるの?」という投稿があるが、最近は従業員だけでなく客による不適切動画、通称「客テロ」も相次ぎ、炎上騒ぎになっている。実は、従業員でなくとも、身元を割り出すことは可能だ。その場合、どのような法的手段が取られるのか、弁護士法人アドバンス札幌事務所の柳澤圭一郎弁護士に聞いた。

■死角なし! 街頭防犯カメラの映像から身元の割り出しが可能

被害にあったらまずは警察に被害届を出し、その後警察が捜査をする。

「仮に店内に防犯カメラが設置されていなかったとしても、店の外に出ればさまざまな場所に防犯カメラが設置されています。その映像によって被疑者の特定も可能ですから、二度と来店しない客であったとしても、警察によって検挙されることは十分にあり得ます」(柳澤弁護士)

正確な統計はないが、日本の防犯カメラ設置台数は世界トップレベル。プライバシーの問題が懸念されるほど、至る所に「目」はある。

「店に電話予約をしていた場合、警察は捜査関係事項照会でその携帯電話番号の契約者情報を取得して、検挙することもあります。ほかにも、目撃者の証言、その客が残した指紋、店内に同席していた他の客が撮影した写真や動画など、さまざまな証拠が考えられます。これらの証拠から、被疑者にたどり着くことができるケースは多々あると思われます」(柳澤弁護士)

では、実際どのような罪に問われるのだろうか。

「店の業務を妨害したような場合には、刑法234条の威力業務妨害罪になり得ます」(柳澤弁護士)

威力業務妨害罪は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。さらに民事訴訟に発展した場合、数千万円規模の賠償金命令が下されることもあり得る。

■「おでんツンツン男」を凌駕!? 仰天迷惑行為の数々

記憶に新しい「コンビニおでんツンツン男」など、客が店に迷惑をかけたことが「威力業務妨害罪」として立件された例はいくつかあるという。

「たとえば、デパートの食堂にシマヘビ20匹を撒き散らした行為、キャバレーの客席で牛の内臓やニンニクを焼き、悪臭をホールに内に充満させた行為、デパートの食堂で数人が共同して、このデパートは詐欺行為をしているなどと大声で怒鳴り散らす行為などが、裁判上、威力業務妨害罪の成立が認められています。最近の事例だと、コンビニ店内で故意に脱糞する行為などが威力業務妨害罪として検挙されています」(柳澤弁護士)

また、牛丼店で食い逃げをしたと思われる動画がアップされたというケースもある。

「注文時に本人が食い逃げをしようと思っていたか、食い逃げをすることになるかもしれない可能性を本人が認識していた場合、食い逃げは刑法246条2項の詐欺罪になります。過去には執行猶予中の犯行で、懲役3年の実刑になったケースもあります。ただし初犯であれば、通常の食い逃げで実刑になるケースはほとんどないと思われます。また、食い逃げは被害金額が数十万円や数百万円などの高額になるケースは稀ですから、損害賠償請求をするとなれば弁護士費用倒れになってしまいます。これまでの経験上、食い逃げ被害を受けた店が損害賠償請求をするという事案にはまだ接したことがありません」(柳澤弁護士)

不適切行為が横行している背景には、あまりに身近になったSNSの存在が切っても切り離せない。実際、仲間内のみで面白がって公開していた動画が瞬く間に拡散し、騒動へと発展するケースは多いようだ。店の評判を貶めたりして業務を妨害した場合、紛れもない犯罪であることを肝に銘じよう。

●専門家プロフィール:柳澤 圭一郎
弁護士法人アドバンス札幌事務所所長。明治大学法科大学院法務研究科修了。企業法務、交通事故、労働案件、刑事事件などを中心に担当。最近はIT分野でも精力的に活動している。

(酒井理恵)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)