小泉進次郎と滝川クリステルの結婚報道読み比べを前回書いた。

【写真】2人の結婚報告を受けた日、ご満悦の表情を浮かべる菅官房長官

 ただ、私が読みたかったテーマは「なぜ官邸に行ったのか。その是非についてマスコミはどう報道したか?」だった。


首相官邸で、囲み取材を受ける小泉進次郎衆院議員と滝川クリステル ©時事通信社

 発表翌日(8月8日)の一般紙にはこの切り口の記事はなかったので書けなかったのだが、そのあといくつか出てきた。

 今回はその記事を中心に追っていきたい。

「真っ先に結婚報告ってあのコの何なのさ」

 まず、「小泉進次郎と官邸」の記事で最高だったのはこれ。日刊ゲンダイ。

「進次郎 菅長官 いつの間にか蜜月の怪しさ 真っ先に結婚報告ってあのコの何なのさ」(8月10日付)

 冒頭の「いつの間に、そんな蜜月関係になっていたのか」から滝川クリステルかと思いきや、「進次郎&菅」のことだった。「2人の急接近が臆測を呼んでいる」と。まるでおっさんずラブ。

 しかし気になるのは「あのコの何なのさ」というフレーズだ。実は見出しだけでなく文中にも「アンタ、あのコの何なのさ! と言いたくなる」と出てくる。このフレーズをやけに推してるゲンダイ師匠。

 不思議に思ってその前段を読むと「やぶから棒に横浜・横須賀コンビの結成宣言だ。」とあった。

 ……あ! 

 やっと意味がわかったぞ!

「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」(ダウン・タウン・ブギウギ・バンド)の歌詞だ。

 菅官房長官は横浜、進次郎は横須賀が地盤。なのであの曲に出てくる「アンタ あの娘の何んなのさ」を使ってゲンダイ師匠は書いていたのだ。元ネタは44年前(1975年)の曲だったのである。

 ふ、古い!

 思わず言いそうになったがそもそもタブロイド紙を買ってくれるのはお父さん層が中心。それを考えると的確な選択なのかもしれない。

 これに似た見出しには昨年5月30日の「書き換えだけど改ざんじゃない」(日刊スポーツ)がある。

 森友学園への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改ざんに関しての記事だが、見出しの元ネタは1991年の「さよならだけどさよならじゃない」(やまだかつてないWINK)であった。

 そんなもん誰がわかるんだよ! いや、スポーツ新聞はおじさんが発信しておじさんが受信するから大丈夫なのです。

 いけない、ついオヤジジャーナル見出しの面白さの話になってしまった。

 話を戻すと「なぜ進次郎は官邸に行ったのか」だ。東京新聞、朝日新聞が識者のコメントを載せていた。

「親子そろって、メディアの使い方はピカイチ」

 まず東京新聞から抜粋する。「劇場型 踊らされ 『小泉議員、滝川さん結婚』官邸で異例発表」(8月9日)。

「発表する場がなぜ官邸になるのか、説明がつかない。極めて違和感がある」

「自民党の厚生労働部会長なら部会の中で報告すればいいだけで、夫婦そろって首相や官房長官にまでお披露目しにくることなのか。周囲の誰かの助言に乗ったのかもしれないが、官邸を政治的に利用したという点は否めない」

 朝日新聞は「劇場型結婚? 首相官邸で『会見』の意図は」(8月9日)

「すべて計算ずくだったのでは」

「劇場型結婚とでも言えるでしょうか。あざといけれど、父の小泉純一郎元首相と親子そろって、メディアの使い方はピカイチだと思いました」

 ここでも「劇場型」という言葉が使われていた。

 そして注目したのはこれ。

「菅氏『進次郎氏は入閣していい』、ポスト安倍の有資格とも」(読売新聞オンライン、8月8日)

《菅官房長官が10日発売の月刊誌「文芸春秋」の誌上で自民党の小泉進次郎衆院議員と対談し、9月に予定される内閣改造で小泉氏が入閣候補者との考えを示したことがわかった。「ポスト安倍」の有資格者との認識も明らかにした。》

 結婚報告で注目された「小泉進次郎」「菅官房長官」の流れのなか、その2人が対談してるというではないか。

 対談掲載の「文藝春秋」は8月10日発売。結婚発表は8月7日。一連の流れには「進次郎入閣」を盛り上げる意味があったのか?

 これが8月8日に官邸で結婚報告だと翌日の長崎原爆の日の紙面と重なり批判が出るだろう。8月9日発表でも同様。そもそも9日発表だと翌10日の紙面には対談の雑誌広告が出るから足並みがそろいすぎる。だから8月7日。すべてここまで考えたフシがある。

「『でき婚』ごまかすための“できレース”」とまで

 強烈な見立ては日刊スポーツ。自民党女性議員のコメントを紹介している。

「でき婚をごまかすために官邸に行き、連動させて月刊誌に対談を載せる官邸挙げての“できレース”と感じた人は多いだろう。選挙の弁士として呼びにくくなったことは否めない」

 タイトルは「『でき婚』ごまかすための“できレース”」(8月10日、政界地獄耳)

 て、手厳しい……。

なぜ「石破氏より先に結婚報告」?

 興味深かったのは毎日新聞。

「小泉進次郎氏に入閣待望論 石破氏より先に結婚報告 官邸へのメッセージか」(8月9日、WEB)

 進次郎は2012年と昨年9月の自民党総裁選で首相と戦った石破茂元幹事長に投票した。しかし結婚報告は菅氏と首相に真っ先にしているという点に注目し、

《石破氏は報道で知ったという。自民党の閣僚経験者らから「小泉氏なりの官邸へのメッセージかもしれない。立ち位置を官邸寄りに変えてきたのでは」との見方が出ている。》

 なんだろう、このザワザワ感。

 進次郎は石破を見限って菅&安倍にすり寄っていったという構図である。しかもそれを「劇場型」にしたのだという各紙の解説。

 最後に訂正させてください。

 先ほど日刊ゲンダイの記事を読んでまるで「おっさんずラブ」と書いた。

 正しくは「劇場版おっさんずラブ」でした。

(プチ鹿島)