「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

【お悩み/アベニューさん(49)会社員】

 20歳を過ぎた男女なら、適度な “大人のジョーク” は職場の潤滑油だと思うが、最近の若いコはすぐ「セクハラだ」と言う。けっして下品なことを言っているつもりはない。

 むしろ、そういう会話ができない職場環境は、逆に不健全なのでは? 私は時代遅れなのですか?

【山口先生のお答え】

 実は私も、少しでも女性の容姿や服装に触れると、即 “セクハラ” 扱いは、窮屈だと思っています。

 昔、ポルノは “艶笑” と訳されていました。艶っぽい笑いですよ。卑猥と艶笑は違うんです。卑猥な話は周囲の眉をひそめさせ、艶笑は周囲を和ませます。

 だから、周囲が思わず「ウフフ」と笑いを漏らすような、上品でユーモアのある色っぽい話が出来る人って、すごい才能なんですよ。

 個人名を挙げると、例えば故・森繁久彌さんなんかは、艶笑談がとてもお上手だったそうです。多分、本人のお洒落でユーモラスで憎めないキャラクターも相まって、卑猥にならなかったんでしょうね。

 ただ、これは非常に難しい問題で、同じセリフを言っても、Aさんは卑猥と思われ、Bさんは色っぽいジョークと受け取られる場合もあるわけです。つまり、キャラに合うかどうかの問題です。

 今の世間の風潮を考えると、取り敢えずご自分が “森繁さんに匹敵する、ちょっとエッチでステキなおじ様” だと確信していらっしゃるなら別ですが、そこまで自信が持てない場合、残念ながら、職場での艶笑ジョークは封印された方が無難だと思います。

 そして、気心の知れた仲間とお酒でも呑んだら、取っておきのジョークを披露しましょう。気の利いたジョークで切り返してくれる仲間がいたら、楽しくてお酒もどんどん進んじゃいますね。

 ああ、それにしても、世の中どんどん世知辛くなってくるわ!

やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中