-妻たるもの、夫に愛されなくてはいけない−

そんな強迫観念のごとき価値観が今、巷に蔓延しているという。

#旦那様ありがとう
#優しい夫に感謝

SNSには自称・愛され妻の投稿が自慢げに並ぶ。さらには“愛され妻”になる方法をレクチャーする講座まで存在し、悩める妻たちが殺到しているというのだ。

これまで、愛され妻ブログを開設し人気を博したものの、実際の結婚生活は破綻していた麗子、そして麗子のお茶会に参加した理恵子と直美(30)、麗子のブログを書籍化することを使命と信じる書籍編集者・美保、そして自らが夫に愛されていると信じ込む亜希の例をご紹介した。

今回は、愛されることを諦めた女・香澄の生活を覗いてみる。




諦めた女・香澄の独白:「愛されたいと願うの、もうやめません?」


タイトル:「賢く夫に愛される妻の、52のルール」出版のご報告

こんにちは。

エレガントな愛され妻の皆様は、いかがお過ごしでしょうか?

このブログでも度々ご紹介してまいりました、若き天才編集者・Mさんと私が2人3脚で作り上げてきた書籍がついに発売となります!

思えば、「夫からの愛され方が分からない、世の女性を救いたい!」という思いで始めたこのブログ。

サロンなどで直接お会いできない遠方にお住いの方にも、こうして書籍という形で私の想いをお伝えする機会を頂きました。

けれど実は、出版へと至るまでの道のりは簡単ではなかったんですよ。

ーこの続きは、サロンメンバーの皆様のみにご案内いたしますー

***

夫婦仲が上手くいかず悩んでいる友人・京香が「どうにかして夫とやり直したい」と相談に来た時。

「ぜひ読んでほしい」と見せられたのが、自称愛され妻・麗子という女性が綴る、このブログでした。

彼女はもう一度、自分が何とか頑張れば夫とやり直せるのではないか...そんな風に思いつめ、解決策を模索している中でこのブログに辿り着いたそう。

そして彼女はあろうことか、「愛され妻の秘密のサロン」とやらに大金を払おうとしていたのです...!

支払いを完了してしまう前に離婚経験者である私に意見を求めてきたことを考えると、少しは冷静な判断力を残していたのでしょうね。

それにしても、京香は随分と悩み、心を痛めている様子。

しかし世の中の女性というのは、京香も含め、どうしてこうも「夫から愛されたい」と願う女性ばかりなのでしょうか?

よくよく考えてもご覧なさい。「愛される」なんて、他人軸すぎません?

他人の言動や行動をもってして自分の価値を決めてしまうなんて...随分危険な考えだわ。

ですが私にだって、そんな彼女たちの気持ちがわからないわけではありません。

その理由を、今からお話ししますね。


離婚経験者・香澄が警鐘する、「愛され至上主義の罠」


香澄の過去


ー香澄ちゃん。私どうしたらいい?一度は離婚を考えたけど、やっぱり不安で。できればやり直したいのよ。親も離婚には賛成しないし...ー

私の元には京香と同じように、夫婦関係に悩む女性からひっきりなしに相談が届きます。

私は離婚経験があり、現在はシングルマザー。ですから離婚後の生活について聞いてみたいという意図もあるのでしょう。

彼女たちが「どうにか夫の愛を取り戻したい」と、しがみつきたくなる気持ちもわかりますよ。

...ええ、私もかつては彼女たちのように、「夫に愛されたい」と願っていましたから。




私の元夫はいわゆる高収入のエリート。戦略系コンサルティングファームでシニアコンサルタントをしていました。

恐ろしくなるほど頭の回転が早く、人の心が無いんじゃないかと思う発言もしばしば。口喧嘩では、到底かないません。

何かにつけて私の家事や子育てに文句を言っては、外で浮気をしているような最低男。けれど気まぐれに私や娘に優しいときもあって...ああ、それに暴力だけは決して振るいませんでした。

だから私も、そんな夫とどうにか上手くやっていこうと思っていたのです。

夫が指摘する私のダメなところを何とか変えてみよう、夫のことももっとよく理解しよう。あらゆる心理学の本を読みつくし、カウンセラーの認定資格を取ってしまうほど人の心について勉強しました。

...きっと、京香が大金を支払ったという愛され妻の麗子さんとやらの何倍も、私の方が知識豊富であるはずです。

知識が偏ってはいけないと考えた私は、できる限りいろんな先生のクラスを受けました。

中には麗子さんが開催されているような、愛され妻講座みたいなものもありましたよ。いわゆる良妻賢母思想を推奨する内容で、私が夫に愛されないのは、すべて私の強すぎる自我の問題だと断定されましたね。

ふふ、それでも、当時の私は藁をも縋る思いで言われた通り実践したんです。夫を立て、常に笑顔で、良い妻・賢い母親をやり切ったんですよ。

夫の愚痴はすべて受け止め、勝手なことをしても咎めない。

夫が元気で働いて、お金を持って帰ってくることが家族の幸せ。子供のために、夫婦喧嘩の姿を見せないために、理不尽はすべて飲み込む。もちろん身綺麗にする。文句は言わない。浮気も見て見ぬ振り。夫の地雷には決して触れない。

...どうかしら?

麗子さんが出版したらしい本に書かれている52のルールって、だいたいこんなん感じなんじゃないのかしらね?

...でもね、私そんなことなら、全部もうやりました。

男性の本能を勉強しつくしても、自分を犠牲にして頑張っても、夫の愛は取り戻せなかったの。

その理由が分かった時…私、離婚を決意できました。


香澄が離婚を決断した、決定的な理由とは何だったのか。


人を愛する能力のない人たち


おかしいな、とは思っていたんです。

いくら私が愛をもって接しても、夫にはまるで響いていなかったから。

夫は常に、自分中心。

私がどんなに夫の心無い言動に耐え、取り乱さず、愛を持って彼を癒そうとしても、私の気持ちを汲むことも、家族のことを慮ることもしてくれませんでしたから。

そんなある日のことです。久々に美容院に行くと、美容師さんからおもむろに「白髪染めはどうされますか?」と尋ねられたんです。

驚きました。だって私、当時まだ27歳でしたから。

おかしいと思って後頭部を鏡で見せてもらうと…そこには、およそ20代とは思えない量の白髪が映っていました。

ー私、このままじゃダメだ…。

当時の私は、身長158cm44キロだったのに、夫から「デブ」だの「ブス」だの罵られており、そのせいで体重は異様な増減を繰り返していました。また常に頭痛にも悩まされており、そのせいで娘に対して理不尽に怒ってしまうことも多かった。

私は夫の愛を取り戻すための勉強をやめ、むしろ自分の体調を救うためのカウンセリングに通うことにしました。

そして、ついに心の平和を手に入れたのです。




カウンセリングで先生に言われたのは、「あなたの夫は、自分しか愛する事が出来ないタイプの人間なのではないか」という事でした。

そう言われて自分でも調べてみると…私と同じように、自分しか愛することのできない夫を持つ妻が、この世にはたくさん存在していることを知ったのです。

私は人を愛する能力のない夫に、せっせと愛を注いでいた。

それがわかった瞬間、私は今までの葛藤が嘘のように離婚を決意する事が出来ました。

もちろん離婚も一筋縄ではいきませんでした。

夫は平気で嘘をつく男で、調停も長引き、裁判にまでなりかけたんです。

しかしその矢先にどうやら彼が体調を崩したらしくって。突然弱気になったのか、急に私の条件を飲むと言ってくれて助かりました。

...まぁ、それもわかっていたことなんですけれどね。運勢的に、彼、最悪の月でしたから。ふふ、私、離婚調停の最中にスピリチュアルな能力も会得し始めたんですよ。

シングルマザーとしての生活は、もちろん不安だらけでした。

そうですよね。専業主婦だった私がどうやって生計を立てているのか、不思議に思われている方も多いんじゃないかしら?

結論から言うと、カウンセリングです。

先ほど、私の元には夫婦仲で悩む相談が次々に届くとお話ししたでしょう。実は私、お金を頂いてカウンセリングをしているの。

もちろん最初は、友人の話を厚意で聞いてあげていました。

けれど想像以上に反響が大きく、紹介が紹介を呼んで雪だるま式に相談者が増えてしまって。これはビジネスになるって思ったんです。

今後、より事業を拡大していくため、本名の香澄ではなく有希という仮名を使うことも決めました。これからはさらに、カウンセラーとしての知名度を上げるべく精力的に取り組んでいくつもり。

最近は前世や潜在意識について勉強した内容もカウンセリングに取り入れて、お客様の悩みをさらに根本から解決へと導いているんですよ。

これから娘も大きくなり、学費もどんどんかかるようになりますが、この調子なら生活もなんとかなりそう。

...人生って、何一つ無駄なことはないんだなって。今になれば、心からそう思うことができます。

ああ、そうね。早速、夫婦仲で悩む京香にも、私のカウンセラー・有希としての活動をこっそり教えてあげなくちゃ。

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冷めてしまった夫の愛。それを取り戻そうと立ち上がる妻・京香の苦悩

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