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バリー・バーネット・コレクション白眉の1台

photo:Bonhams

素晴らしい1935年製ブガッティ・タイプ57アトランテ・フォーカブリオレが、今年のグッドウッド・リバイバルに登場する。しかもコースを走るだけでなく、同イベントで行われるボナムズのオークションに出品されるのだ。

この超稀少なブガッティは、わずかな台数が現存する「アトランテ」フィクスド・ヘッド・クーペの1台であり、亡くなったバリー・バーネットのコレクションとして今回のオークションに出品される6台のクルマのうちの1台だ。

「1935年製ブガッティ・タイプ57アトランテ・フォーカブリオレ」

目映い輝きを放つ黒とクリーム色で塗り分けられたタイプ57は、9月14日のオークションで販売される。予想落札価格は、このような特別なクルマに期待されるとおり高額で、100万〜150万ポンド(約1.3億〜1.9億円)とされている。

今回のアトランテは製造されてからしばらくの間はフランスにあったが、1957年に米国人が購入して大西洋を渡る。1980年代になってから再び欧州に戻ってきた。

84歳のブガッティ

この時代のクルマとしては珍しく、シャシーもボディもエンジンもギアボックスもすべてオリジナルのままで、それぞれに打刻されたナンバーが一致している。

とはいえ84年間、放っておかれていたわけではない。以前所有していたピーター・レイは、バーネットに売却する前に完全なレストアを行っている。

「1935年製ブガッティ・タイプ57アトランテ・フォーカブリオレ」

「売却する」と書いたが、実はバーネットはこのクルマを、1台のドラージュと、サー・マルコム・キャンベルのタイプ57Sアトランティックに付けられていた「DYF4」というナンバープレートと交換で手に入れた。

世界記録のラゴンダV12も

バーネットは60台ほどのクルマを所有する著名なコレクターだった。その中で最も知られている1台は、コルシカ製ボディを持つ1931年製デイムラー・ダブル・シックスだろう。このクルマは彼が手放した数年後、2006年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスで賞を受けている。

他にバーネットのコレクションから今回のオークションに出品されるクルマは、1938年製ラゴンダV12「ル・マン・レプリカ」ツアラー、1963年製ファセル・ヴェガ・ファセルII、1936年製ラゴンダLG45ツアラー、1936年製タルボ・ラーゴT23ル・マン・レプリカ、ジャガーDタイプ・レプリカの5台だ。

「1938年製ラゴンダV12」

1938年製ラゴンダV12はファクトリープレスカーとして使われていた量産前試作車で、1938年にブルックランズ・サーキットで1時間以内に100マイルを走る当時の世界記録を打ち立てた。予想落札価格は20万〜30万ポンド(約2550万〜3800万円)。1963年製ファセルIIは、わずか26台しか製造されなかった稀少な右ハンドル車。12万〜16万ポンド(約1500万〜2000万円)の値が付く見込みだ。

バーネットの所有車は、8月15日に米国カリフォルニア州で行われるボナムズのクウェイル・ロッジ・オークションにも出品される。デューセンバーグ・モデルJトーピード・フェートンの予想落札価格は60万〜80万ドル(約6400万〜8500万円)となっている。

「バーネット氏のコレクションを、新たに大事にしてくれるオーナーに受け渡す機会を委託されました。このことを、わたし達は大変名誉に思います」と、ボナムズ自動車部門で英国のディレクターを務めるショルト・ギルバートソンは語る。

「いずれもバリーのクラシックカーやビンテージカーに対する情熱と審美眼が反映されたクルマばかりです」