エクセレンス・アワードを授与されたソン・ガンホ

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 現在スイスで開催中の第72回ロカルノ国際映画祭で、ソン・ガンホがアジアの俳優として初めて栄誉賞にあたるエクセレンス・アワードを授与された。現地には最新作「パラサイト」をはじめ4作でコンビを組んでいる盟友、ポン・ジュノ監督も駆けつけ、ふたりでパネルディスカッションをおこなった。

 今年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した「パラサイト」は、現在公開中のフランスでは1カ月で観客動員140万人を超える大ヒットを更新中。ロカルノ名物の野外シアター、ピアッツァ・グランデの上映では、直前まで続いた大雨にもかかわらず観客が会場を埋めつくした。

 ガンホは、受賞について「アジアの俳優として初めてロカルノ映画祭でこの賞を頂いたことに、これ以上はないほど感激しています。自分にとって大変栄誉な賞であるとともに、韓国映画がいま世界的に評価されていることの表れだと感じています。とてもバリエーション豊かな作品が出てきている韓国映画の現状が、さらに世界に発信されるきっかけになればいいと思います」と語った。

 「グエムル 漢江の怪物」をカンヌ国際映画祭監督週間に選出した当時のディレクターで、ロカルノ前ディレクターも務めたオリビエ・ペールの司会によって開催されたパネルディスカッションは、ジョークも飛び出す和気あいあいとした雰囲気に包まれた。役作りについて尋ねられたガンホは、「監督によって異なりますが、ポン・ジュノの場合は彼が全部命令するので、準備はしないです(笑)」と冗談を言うと、監督が爆笑。また演じる際には、「どんなキャラクターもリアルに、観客に実際こういう人が存在すると感じてもらえるように演じることをモットーとしている」と語った。さらにキャリアの初期、演劇から映画に移行したエピソードや、役者を目指した当時、スティーブ・マックイーンのファンだったことなど、ふだんあまり語ることのない時代を振り返った。

 一方、映画監督になった頃からガンホのファンだったというジュノは、「殺人の追憶」で初めて一緒に仕事をしたときのことを振り返り、「当時彼はすでに『シュリ』『JSA』の大ヒットでスターになっていたのに引き換え、僕は『ほえる犬は噛まない』という変てこな長編を1本作っただけの新人だったので、出演してもらえないのではないかと不安だったけれど、受けてもらえてとても嬉しかったです」と発言。また冒頭の長回しのシーンにおけるガンホの即興演技に感銘を受けたことを語った。さらに「スノーピアサー」では、初めてハリウッドに進出した大作で、外国語の俳優たちに囲まれ孤独を味わっていたなか、ガンホが現場に到着するとほっとして、とても心強くなったことも明かした。

 ふたりとも大の映画通でもあるものの、ガンホは「仕事の場以外では映画の話はほとんどしません。野球のことばかり話しています」と語り、韓国映画を代表する監督と俳優の、仕事を超えた絆が感じられた。(佐藤久理子)