スバル座最後の洋画は、らしさ満点のフランス映画をセレクト/[c] 2018 WINDY PRODUCTION - MOANA FILMS - MARS FILMS LYNK HOLDINGS LIMITED - MY UNITY PRODUCTION

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最新の設備を備えたグランドシネマサンシャインなど、シネコンが次々とオープンする中、単館系の劇場が街から姿を消しているのも事実。多くの映画館が存在する有楽町の街を長きにわたり支えてきた「有楽町スバル座」も、今年の10月中旬頃での閉館が決まっている。

【写真を見る】閉館が決まった有楽町スバル座で公開される最後の洋画とは?/[c] 2018 WINDY PRODUCTION - MOANA FILMS - MARS FILMS LYNK HOLDINGS LIMITED - MY UNITY PRODUCTION

今後の映画興行事業の展望や施設の老朽化など、総合的な判断によって閉館となる有楽町スバル座は、日本初の洋画ロードショー劇場であり、1953年に火災で消失してしまった“初代スバル座”(丸の内スバル座)を継ぎ、1966年の4月に有楽町ビルの竣工と共に開館。

以来、洋邦織り交ぜたラインナップとなるが、『ミツバチのささやき』(73)や『ブリキの太鼓』(79)といった特に大人向けのアート系作品に強い映画館としても知られてきた。そんな洋画のイメージも強いこの劇場で最後に公開される洋画作品が、現在上映中の『マイ・エンジェル』だ。

『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(07)でオスカーを受賞したマリオン・コティヤールが主演を務める本作は、夏が過ぎ行く南フランスのリゾート地コート・ダジュールを舞台に、傷つきながらも愛を築いていく母と娘の姿をエモーショナルにつづったフランス映画。

8歳の娘エリーと共に、貧しくも自由気ままな生活を送っていたシングルマザーのマルレーヌ。愛することに不器用な彼女が幸せをつかんだかに見えた矢先、その酒癖の悪さがたたり、再婚相手との関係はあえなく破綻してしまう。厳しい状況から逃れ、姿を消した母親から取り残された娘のエリーは、自分を取り巻く残酷な現実に直面。やがて母マルレーヌが戻ってきても心を閉ざし、頑なに拒絶するように…という人間ドラマだ。

写真家としても活動し、本作が長編デビューとなるヴァネッサ・フィロ監督や、『アーティスト』(11)でアカデミー賞にノミネートされた撮影監督ギヨーム・シフマンらによる映像も、リアルと夢の狭間のような耽美的で美しく、まさに大人向けでこの劇場にふさわしい作品だと言えるだろう。スバル座らしいセレクトとなった“最後の洋画”を、ぜひスクリーンで鑑賞して、往年の感覚に浸ってみてほしい。(Movie Walker・文/トライワークス)