献身的なプレーでマンUの黄金期を支えたエブラ(左)が、“盟友”C・ロナウドとのエピソードを語った。 (C) Getty Images

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 34歳となったいまも輝き続けているのが、ポルトガル代表FWのクリスチアーノ・ロナウドだ。

 そのパフォーマンスに衰えは見られず、よりゴール奪取に専念するプレースタイルに変貌したことによって、存在感は増しているようさえ感じられる。ユベントスに移籍してセリエA初挑戦となった昨シーズンも、公式戦43試合に出場して28ゴール・10アシストと健在ぶりを示していた。

 そんなスーパースターが長いキャリアを歩めている理由の一つが、そのストイックさにある。

 常に筋骨隆々の身体を保つためにトレーニングを重ねる“練習の虫”としても知られ、「1日に腹筋を3000回はこなしている」、「寝ても覚めても筋トレしかしていない」といった噂が飛び交うほどだ。

 そのC・ロナウドのスーパーアスリートぶりを物語るエピソードを語った男がいる。マンチェスター・ユナイテッド時代に同じ釜の飯を食った元フランス代表DFパトリス・エブラだ。

 C・ロナウドとはユナイテッドで約3年間に渡ってともにプレーし、クラブの黄金期を支えたエブラは、イギリス・メディア『ITV』のインタビューで、「彼にランチに誘われたら行くべきじゃない。ただ、『ノー!』だと言ってくれ」と切り出し、ある日の出来事を明かした。

「あるとき、彼がこう言ったんだ。『パトリス、今日の練習の後、うちに来てくれ! ランチをしよう』ってね。もちろん僕は行った。ハードな練習の後だったからとても疲れていたんだけどね。でも、テーブルに出てきたのはサラダと鶏肉だけで、飲み物もジュースじゃなくて水だけだった。僕は『しばらくしたら大きな肉が出てくるだろう』と思っていたけど、最後まで何も出てこなかった」

 そして、食事後もC・ロナウドはエブラを驚かせる行動を続けたという。

「食べ終わったら、彼はすぐに立ち上がって、ボールで蹴り始めたんだ。それでいくつかのスキルを僕に見せてから、『さぁ、パトリス。ツータッチゲームをやろう』と言ってきたんだ。それを『いや、ご飯を食べるだけでいいよ』と断ったら『いや、やろう!』って強引に連れられたよ(笑)。

 それで、なくなく彼とツータッチゲームをやったあと、さらにプールに泳ぎにいって、ジャグジーにつかって、サウナに入って、ようやく解放された。僕は彼に『クリスチアーノ、試合があるからここに呼ばれたのか? ランチのためだろ?』って言ったよ」

 そして、最後にエブラはこう忠告したという。

「クリスチアーノの家でのランチを誘われたら『行くな!』と言うよ。彼はただのマシーンだからトレーニングを止めたくないんだ。でも、こっちはこりごりって感じさ」

構成●サッカーダイジェストWeb編集部