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『機動戦士ガンダム』『ガンダム Gのレコンギスタ』などのガンダムシリーズに、『伝説巨神イデオン』『聖戦士ダンバイン』といった数多くのオリジナルアニメーションの総監督を務め、国内外のアニメーションに多大な影響を与えてきた、富野由悠季監督のこれまでの軌跡を振り返りつつ検証する初の回顧展が、福岡市美術館を皮切りに全国複数の美術館で2019年から2020年にかけて開催中だ。ちなみに富野監督は現在、今秋公開の劇場第1弾『Gのレコンギスタ 行け!コア・ファイター』が控えている。

アニメの演出家であり、脚本家であり、作詞家、小説家でもある富野由悠季監督のアニメ制作初期の頃から現在に至るまで、約50年以上にわたる歩みを辿りながら、各時代の作品がどれほど人々に影響を与えてきたか、そして富野監督がそれぞれの作品に込め続けてきた思いを紐解いていく展示になっている。
いまなお日本のアニメ界をけん引し続け、幅広いファンを持つ富野監督作品の魅力を、余すことなく展示しているので、ぜひこの機会をお見逃しなく!!

■全国巡回展
「富野由悠季の世界」

<開催情報>
★第1会場:福岡市美術館
会期:2019年6月22日(土)〜9月1日(日)

★第2会場:兵庫県立美術館
会期:2019年10月12日(土)〜12月22日(日)

★第3会場:島根県立石見美術館
会期 2020年1月11日(土)〜3月23日(月)

★第4会場:青森県立美術館(予定)
会期:2020年4月18日(土)〜6月21日(日)

★第5会場:富山県美術館(予定)
会期:2020年7月〜9月

★第6会場:静岡県立美術館(予定)
会期:2020年9月〜11月

「富野由悠季の世界」公式サイト https://www.tomino-exhibition.com


撮影:鈴木心

展覧会「富野由悠季の世界」によせて--富野由悠季

「概念の展示」は不可能なのだが......

この展覧会の企画について、美術館の学芸員の方々からご提案をいただいたときには、嬉しかった反面、「展示するものなどはないのだからやめたほうがいい」と何度も伝えました。「演出」という仕事は、感覚的な仕事であると同時に、たいへん観念的な作業で、概念(考え方)を示すことができる仕事」なのです。つまり、この一行半を展示で説明することはできないのです。しかし、美術館の学芸員の方々は、みなさん方がとても熱心で、ぼくの言うことを聞いてくれませんでした。(笑)
そして、彼らと話し合いをするうちに、「トミノは巨大ロボットを動かすだけではないという部分を記録してみたい」と思うようになりました。
それで、子供のころから学生時代までの記録を見直してみて、記憶の通りでありながらも、結局は、当時ただひとつ好きだった連載漫画『鉄腕アトム』に引っ張られながらも、アメリカのSF映画群から「映画的なるもの」に触発され、好きでもなかったアニメの世界に入ってしまったのです。しかも手塚治虫主宰のプロダクションに就職したのですから、たいへん幅の狭い道でした。
しかし、中高時代は漫画離れをして、ペン画や短編小説を試作し、大学時代は学生運動というほどのものではないにしても世間を覗くことができて、その結果、テレビ漫画『鉄腕アトム』の演出の仕事にはいり、それから、初監督作品『海のトリトン』から始まって、出世作となった『機動戦士ガンダム』を経て、『ガンダム G のレコンギスタ』まで 55 年間。
仕事を成立させるために、先に思い(観念的なこと)を吐き出してしまい、その後付けを考えるということを繰り返してきました。それは基礎学力のない情けないキャリアで辟易するのですが、しかしながら、「アニメは映画だ」というコンセプトだけは振り回してきたつもりです。
そのことは何なのだ!? その説明はとても不可能なのですが、「映画というのはただ動く絵の陳列ではないんだよ」ということを知っていただきたい、もっと素敵で強固な媒体なのだ、ということを想像していただきたいのです。
そのために、今回のような形で恥を晒してみせましたので、映像作家を目指す諸君には、ここから独自の道筋をお考えいただければ、と心から願うのです。

※手塚治虫の「塚」は点が入った旧字が正式表記です