ロッテ・荻野貴司 KyodoNews

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◆ 初の規定打席到達

 ロッテの荻野貴司がプロ10年目で、自身初のシーズン規定打席(443)に到達した。

 2010年にプロ入りしてから“走攻守”で高いレベルでのパフォーマンスを発揮し、チームには欠かせない活躍を見せてきた。その一方で、故障が多く、毎年のようにシーズンのどこかで離脱していた。

 昨季は開幕からトップバッターとしてチームを引っ張っていたが、7月9日の西武戦の打席中に右手を負傷し、その後『右手第二指基節骨骨折』と診断され離脱。シーズン中の復帰が叶わなかった。

 「途中で離脱してしまったので、申し訳なかったというのがあります」。

 昨年のシーズン終了後に、このように話した荻野。昨季のロッテは、荻野の故障前まで39勝37敗2分と勝ち越していながら、離脱後に20勝44敗1分と大きく負け越した。荻野の存在がいかにチームにとって重要な存在か再認識するシーズンとなった。

◆ 今季は開幕から大きな故障なく

 今季は開幕直後こそ打撃に苦しみベンチを温めていたが、バットの長さを去年まで使っていた約85センチに戻し、バットを短く持つスタイルに変更してから調子を上げた。

 6月7日の巨人戦から7月4日のオリックス戦にかけて20試合連続安打を放つなど、不動の1番打者として、打率リーグトップの.330でオールスタ前の戦いを終えた。

 「大きな怪我がなくこれている。個人的には順調にきているかと思います」と前半戦を振り返った荻野。後半戦に入ってからも、大きな故障なく試合に出場し、打率は3割台をキープ。打席数も順調に重ねていき、8月10日終了時点で433。

 シーズンの規定打席到達まで残り10打席となった11日の試合前には「(規定打席に)到達したことがないので、到達したいなという思いはありますね」と、規定打席への思いを語った。11日の西武戦で5打席、12日の西武戦も5打席立ち、打席数を443に乗せた。

 初めて到達した規定打席に荻野だが、「嬉しいことは嬉しいですが、この先はまだまだあるので、そこに向けてしっかりやっていきたいと思います」とあくまで通過点と捉えている。

 昨年の今頃は右手を骨折し、当時リハビリ組だった選手たちと一緒に真夏のロッテ浦和球場で黙々とランニングする姿がとても印象的だった。あれから1年。荻野は「(この時期も怪我なくプレーできることは)嬉しいですし、幸せなこと」と試合に出場する喜びを感じながらプレーしている。

▼ 荻野のプロ入り後の出場試合数と打席数

10年:46試合 / 217打席

11年:23試合 / 103打席

12年:61試合 / 187打席

13年:102試合 / 397打席

14年:40試合 / 155打席

15年:82試合 / 309打席

16年:71試合 / 219打席

17年:103試合 / 394打席

18年:78試合 / 351打席

19年:98試合 / 443打席

※2019年8月12日時点

取材・文=岩下雄太