久保建英を筆頭に、若い日本人選手が続々とヨーロッパのクラブに移籍しています。ただ、これまで若い選手がヨーロッパに行くと最初は非常に苦労しているという印象を持つ人もいるようです。

そんな例として18歳でイタリアに渡った森本貴幸、19歳でドイツに移籍した宇佐美貴史などが挙げられます。僕は、現在ヨーロッパに渡っている選手とは状況が違っていると思います。

森本の場合は、当時世界のトップクラスだったセリエAのカターニアに挑戦しました。宇佐美にしてもドイツの強豪バイエルン・ミュンヘンへの加入でした。レベルを考えるとすぐに活躍できるはずがないのです。

当時はできる限り高いレベルの選手たちと一緒に練習することが大切であり1つの経験として考えられていたのだと思います。ですが今は、試合に出られることの優先順位を高く考えてチーム選びをしています。

ですから移籍した選手はちゃんと試合に出られるでしょう。問題はそこからどうステップアップできるかです。

たとえばG大阪からオランダのトゥウエンテに移籍した中村敬斗は開幕から2試合連続でゴールを決め、チームの信頼を得ています。この調子を維持できれば、きっと道は開けます。僕は、そういう道筋を思い描きながら若い選手はどんどん海外進出してほしいと思います。

この時期の移籍は、ヨーロッパの選手がシーズンに向けてコンディションを調整しながらプレーしている中に、Jリーグでトップコンディションを作ったまま飛び込んでいけます。怖れず挑戦してほしいものです。

そして若手選手にばかり取り上げられているきらいがありますが、他にももっと話題になっていい移籍がありました。スペイン2部で岡崎慎司、香川真司が新たなチャレンジを始めるのは素晴らしいことです。これまで日本を背負ってきたベテラン選手にもぜひ注目してほしいと思います。