銃乱射事件が起きた米テキサス州エルパソの小売り大手ウォルマート前で、犠牲者を追悼し住民らが置いた花束(2019年8月4日撮影)。(c) Mark RALSTON / AFP

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【AFP=時事】週末に米国のテキサス、オハイオの2州でそれぞれ白人の男が自動小銃を乱射し、合わせて30人近くが死亡した。米国にとって「白人テロ」が今や大きな脅威となっているという懸念を際立たせた事件だ。

 事件後の両州では悲しみが広がるとともに、対策を要求する声が上がっている。他の都市も含めて以前から共和党、民主党両党の政治家らは連邦政府に対し、この脅威をもっと真剣に受け止めるよう要求していた。民主党議員の中からは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が人種間の緊張を危険なほどあおっているとの非難も上がっていた。

「この問題には、二つのことが絡んでいる」。米インディアナ州サウスベンド(South Bend)市長で、民主党の大統領候補指名を争っているピート・ブーティジェッジ(Pete Buttigieg)氏は、米FOXニュース(Fox News)の番組でこう語った。「1番目に、この国の銃に関する安全政策の脆弱(ぜいじゃく)さ。2番目に、白人ナショナリストによって触発された国産テロの台頭。われわれは何らかの対策を取らなければならない」

 週末の銃乱射事件の舞台となったテキサス州エルパソ(El Paso)市のディー・マーゴ(Dee Margo)市長は、事件に関する人種的視点には一切言及せず、単に「精神が錯乱した」男による「純然たる悪」と述べて、この悲劇を矮小(わいしょう)化している。

 だが共和党員でさえも、この種の説明では不十分だとみる向きがある。ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)元大統領のおいで、テキサス州高官のジョージ・P・ブッシュ(George P. Bush)氏はツイッター(Twitter)への投稿で、「テロとの戦いは今も国家的優先課題だと思うが、それには白人テロと断固戦うことも含まれる」「これは現実に、今そこにある脅威だ」と述べた。

 米シンクタンク「ニューアメリカ(New America)」によると2017、18年に米国内で極右勢力による暴力はイスラム過激派による襲撃よりも多くの人命を奪っている。だが同シンクタンクのアナリスト、ロバート・マッケンジー(Robert McKenzie)氏は今年に入り、「オバマ政権下でさえも、政治的動機による右派の脅迫を情報機関が無視することはしばしばだった」と指摘している。

 トランプ氏が勝利した2016年の大統領選後に明らかに変わったことの一つは、世論の傾向だ。大統領になったトランプ氏は盛んに移民を「侵入者」と称してこき下ろしてきた。また、2017年にバージニア州シャーロッツビル(Charlottesville)で白人至上主義団体と反対派が衝突した際には、白人至上主義者らを明確に非難することを拒んだ。そして最近では、下院民主党の非白人系の女性議員4人に対し、家族のルーツがある国へ「帰れ」とも発言した。

 2020年大統領選へ向けた民主党予備選の候補の一人で、下院議員時代は自らの選挙区に今回事件があったエルパソが含まれていたベト・オルーク(Beto O'Rourke)氏は、米CNNに対し、「大統領が人種差別の拡大を促している。人種差別的な言辞だけではなく、その後に続いて起こりがちな暴力もだ」「(そういうことをしているのは)トランプ大統領だけではないが、彼は国民の信頼を最も得る立場にある人間であり、最も大きな責任がある」と語った。

【翻訳編集】AFPBB News