心理士に聞いた!爪を噛む行為の裏にある心理

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幼少期から始まることの多い「爪を噛む行為」。年を重ね噛まなくなった人や大人になっても噛み続けている人、大人になって噛み始める人などさまざまのようだ。身近な家族や友人からすると、「注意するべきだろうか、見て見ぬふりをするべきだろうか」と、どうしてよいか分からないという人がほとんどではないだろうか。実際、「教えて!goo」にも「爪を噛む、むしる癖のある夫と結婚して6年目の夫婦です」と、結婚前から癖になっている夫の爪噛みについてどうすべきかと相談が寄せられていた。そこで心理士の椎名あつ子先生に、爪を噛む行為の裏にある心理や、やめさせる方法について聞いてみた。

■爪を噛む行為の裏にある心理

椎名さんはまず、子どもの爪を噛む行為の裏にある「ストレス」について教えてくれた。

「子どもが爪を噛む行為は、4歳頃から始まることが多いです。乳児期の授乳や指しゃぶりの延長のようなもので、それらを卒業する心の準備が整っていないのに、やめさせられてしまったことが発端になることが多いです」(椎名さん)

4歳とは幼稚園や保育園に通う時期。「爪を噛む行為」とは、ストレスのはけ口を自分自身に向けることから引き起こされる状態だそうだ。

「自分自身に向けてしまう子どものストレスは、心の中に沸き起こる、悔しい、寂しい、悲しいなどの『嫌な感情』、あるいは、意地悪したい、困らせたい、怒りたいなどの『攻撃的な感情』を、原因となる対象にぶつけられない場合に生じます。爪を噛む行為は、軽度の『習癖異常』に分類され、爪の周りの皮を剥く、髪の毛を抜くなどの行為も同様です」(椎名さん)

では、大人になって爪を噛み始めた人の原因はどうなのだろう。

「大人になっての爪噛みの原因は、育った環境やもともとの気質、現在の家庭や仕事など直接的なストレスが原因になり生じるケースが多いようです。もっと強い症状として、リストカットや、アルコール依存、買い物依存などの『依存症』に変化することもありますが、自己嫌悪や自己否定などの心の痛みを忘れるために行うことが多いです」(椎名さん)

子どもの場合も大人の場合も、負の感情のぶつけどころがないことが共通の原因のようだ。

■爪を噛む人への寄り添い方

では爪を噛む子どもに、親は何と声をかけるべきだろうか。

「お子さんが爪を噛んだり、普段と違う行動で羽目を外したりするのはストレスを抱えているサインかもしれません。とはいえ、そこで『今日はどうだった?』、『学校は楽しかった?』と漠然とした質問をするのはNGです」(椎名さん)

答えにくい質問では、焦点である回答を引き出せないため、意味をなさないという。

「さらに、爪噛みに対しても、直接的に『汚いからやめなさい』、『みっともないからダメ』と注意するのはおすすめできません。お子さんが抱いている嫌な感情や攻撃的な感情を察し、共感し、受け止めてあげてください。具体的には、『今日は悔しい思いをしたけれど、我慢したから爪を噛みたくなるよね』とか、『(妹の)◯◯ちゃんにおっぱいをあげていたから、寂しい気持ちになって爪を噛んじゃったね』などと、お子さんの気持ちを察して優しく寄り添い、『嫌だったね』、『辛かったね』と共感してあげてください。そうすることで子どもは、負の感情を親に吐き出してよいのだと認識し安心するようになります」(椎名さん)

爪を噛む行為の裏には必ず原因がある。無理に止めさせるのではなく「話を聞いてあげる姿勢」が大切のようだ。大人に対しては、どのように対応すればよいのだろうか。

「無意識に行っていることが多く、子どもに比べ、止めさせることが難しいかもしれません。趣味など他のことで集中できるようにさせてあげるのが一番ですが、夫婦など話しやすい関係性であるならば、『最近、爪を噛んでいる姿をよく見かけるけど、何かあった?』などと軽く聞いてみるのもよさそうです。しかし、爪を噛む行為を止めることができても、代わりに他の自傷行為を始めてしまうケースも多いため、『専門医に相談してみたら?』とアドバイスするのもよいでしょう」(椎名さん)

爪を噛まなくなっても、別の行為をはじめてしまうケースも。大人の場合は、専門家に任せるのが安心のようだ。子どもにも大人にも、まずはその心を察し、優しさと共に共感してあげることからはじめたい。

●専門家プロフィール:椎名 あつ子
2000年「横浜心理ケアセンター」設立。1対1のカウンセリングのほか、複数のファミリーカウンセリングにも対応。モラハラやDV、職場ストレス、発達障害の相談にも多数の実績がある。医療や法律の専門家との連携も可能。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)