■Q.眼科の上手なかかり方はあるか?

■両目、右目、左目の見え方をまず把握

まずは家や職場の近所に、かかりつけの眼科医を持つとよいでしょう。そしてメガネやコンタクトレンズを使っている人は、定期的に検眼してもらいます。40代以上で高血圧や糖尿病などの持病がある人も、定期的に眼底検査を受けることをお勧めします。普段から診てもらっていると、わずかな変化もわかり、病気の早期発見につながります。

かかりつけ医の選び方は、内科や歯科と同じです。通院しやすく、気になる症状があるときに気軽に通えるところを選びます。何か問題があるときや病気の可能性がある場合に、専門医に紹介してくれる病院をかかりつけ医にしておくと安心です。

眼科の検査や治療の技術はめまぐるしく進歩していて、例えばアメリカでは、AI(人工知能)の導入がすでに始まっています。

ただ、いくら検査や治療の技術が進んでも、患者と医師のコミュニケーションがうまくとれていないと、見つかるはずの病気の兆候も見つかりません。受診する際は、以前にかかったことのある病気(既往症)や、現在病気で服用している薬などを伝えるのはもちろんですが、症状を具体的に伝えることが大切です。

症状の伝え方にはコツがあり、大きく4つのポイントがあります。1点目は、両目で見たときにどう見えるか、右目、左目のそれぞれの見え方の違いを、分けて伝えられるように準備することです。2点目は、症状が出始めた時期です。症状が悪化しているのか、変わらないのかも伝えます。3点目は、「見えにくさ」の具体的な説明です。一口に「見えにくい」といっても、ぼやけて見える、ゆがんで見える、かすみがかかったように白っぽく見える、一部が欠けて見える、蚊のようなものが飛んで見える、などいろいろあるので、説明できるようにしておきましょう。4点目は、見えにくい時間帯です。夜、暗くなると見えにくいのか、一日中見えにくいのかを伝えます。

具体的な症状がわかると、診断する際の参考になります。また、緊急な処置が必要かという判断もしやすくなります。例えば、目の毛細血管の中で動脈が詰まって眼底出血を起こしているときは緊急の処置が必要ですし、脳の病気の症状が目に出る場合もあります。まぶたが下がったり眼球が動かなくなったりしたら、脳の動脈瘤がまぶたや目を動かす神経を圧迫している可能性もあるので、すぐに脳神経外科での検査が必要です。

■聞きたかったことが、聞けないということも多い

眼科に限らず、病院では緊張してしまい、聞きたかったことが聞けないということも多いと思います。眼科に行くときは、伝えるべき症状についてだけでなく、気になることや聞きたいことも、あらかじめメモをしておくとよいでしょう。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Nastasic)

患者さんからよく聞かれる質問は、「目を使いすぎたから病気になったのでしょうか?」「目は休めたほうがいいのでしょうか?」というもの。基本的に、目の使いすぎで病気になることはありません。暗いところでスマートフォンの画面を見続けるなど、目に負担をかけるのはよくないですが、普段通りに見る分には、気にする必要はありません。

また、目の健康を守るためには、セルフチェックも重要です。朝起きたら、同じ場所から同じものを片目ずつ見て、視力が落ちていないか、ゆがんで見えないか、欠けて見えないところがないかを確認するとよいでしょう。カレンダーのように格子状になったものだと、ゆがみがわかりやすいのでお勧めです。

▼ぼやける、ゆがむ、かすむ……症状を具体的に伝えよう

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井上賢治
医療法人 社団済安堂理事長 井上眼科病院院長
千葉大学医学部卒、東京大学医学部大学院修了。眼科専門医。専門は緑内障。138年(創立1881年)の歴史を有する日本有数の眼科専門病院のトップを務める。著書に『視力0.1でも豊かな生活を送る 目の健康を守る本』など多数。

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井上 賢治医療法人 社団済安堂理事長 井上眼科病院院長
千葉大学医学部卒、東京大学医学部大学院修了。眼科専門医。専門は緑内障。138年(創立1881年)の歴史を有する日本有数の眼科専門病院のトップを務める。著書に『視力0.1でも豊かな生活を送る 目の健康を守る本』など多数。
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(医療法人 社団済安堂理事長 井上眼科病院院長 井上 賢治 構成=大井明子 撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)