“スタート地点”へ戻った鎌田大地。若き日本代表が語った「悔しさ」とは

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2018-19シーズンのUEFAヨーロッパリーグでベスト4へ進出したアイントラハト・フランクフルト。

長谷部誠が中心的な役割を果たしたことで注目を集めたチームにこの夏、もう一人の日本人選手が帰ってきた。

鎌田大地は昨シーズン、ブンデスリーガ開幕直後にベルギーのシント=トロイデンへ期限付き移籍。

すると、公式戦36試合16ゴール をあげる活躍を見せ、今年3月には日本代表へ初招集。3月22日のコロンビア戦でA代表デビューを飾った。

現在は復帰したフランクフルトにおいて、プレシーズンマッチで印象的なプレーを見せている鎌田。

結果を残した一年を経て、22歳の攻撃的MFはどのようなことを感じているのか。オフシーズンに行ったインタビューをお届けしたい。

(取材日:2019年6月20日)

「スタート地点くらいには戻れた」

――昨シーズンは開幕直後にシント=トロイデンへの移籍を決断しました。どういった一年でしたか?

前年、ヨーロッパでの1年目がうまくいっていなかったので(※2017-18シーズンのブンデスリーガでは3試合出場0得点)、自分がどれだけできるのかを証明しなくてはいけない一年でした。

そうしたなかで、最低限の結果を残すことができ、自分が思っているスタート地点くらいには戻れたのかなと思います。

――シント=トロイデンでは多くの時間、フォワードといえる前線に近いポジションで出場しました。

一応、2トップとして出場はしていましたが、フリーマンというかある程度自由が与えられていたので、フォワードよりは一個下の感覚でやらせてもらっていました。自由が多く与えられていた分プレーはしやすかったです。

――監督からはどういった役割を求められていたのですか?

監督からは「自分の思うよう好きにやってほしい」と言われていました。その中で、最初はゴールを決めることができていたのですが、徐々にマークが厳しくなり得点できない時期もありました。

ただそれでも、得点を意識して前のポジションにいたところ、監督に呼ばれて「もっと自由に動いていい」と言われたんです。そこからまたプレーしやすくなった部分はあります。

僕自身は「もう一つ後ろをやりたい」とずっと監督にも話していたのですが、「他の選手では点が取れない。前で頑張ってほしい」と言われました。

実は「ゴールを決めてくれ」と直接的に言われたことはなくて、自由にやらせてもらったことで結果的にうまくゴールもできたという感じです。

――以前、フランス代表のポール・ポグバの名前を挙げて「中盤のポジションがやりたい」と仰っていました。その気持ちは今でも変わりませんか?

トップ下ももちろんできると思いますし、そのチームのフォーメーションによりますけど、前線よりも一個後ろのほうが僕自身はいいプレーができると思っています。

――攻撃でも、守備でも?

それをできるようになるのがヨーロッパで自分が上に行ける道だと思いますし、そうなりたいです。

――守備面では日本でプレーしている時と比べ求められる内容は違いますか?

特にドイツは違いました。さらに、ドイツの中でもフランクフルトはそういうところ(※守備での約束事)を大事にするチームだったので、強く感じましたね。

決定力の“秘訣”

――鎌田選手のプレーを見ていると、特にゴール前のフィニッシュが非常に落ち着いているように見えます。自身ではどのように感じていますか?

フランクフルトではもっと上手い選手たちとプレーしていましたし、そこではあれくらいが当たり前で、もっとすごい選手も多かったです。だから僕自身は周りが言うほどは感じていません。

――たとえばエリア内で決定機が来た時、どんなことを考えながらフィニッシュまで行くのですか?

自分が決められる自信がある形に頑張って持っていくことを考えています。左足でシュートを打たなくてはダメなシーンでも、できれば右足で打ちたい。だから、ギリギリまで引きつけてからフェイントして右足側に持っていったり。

――海外に出てから自身の武器をどこだと考えていますか?

ペナルティエリア内で自分の持ちたいようにボールを持っていればある程度できる自信はあります。それ以外のところも、攻撃面は自分の中では通用するなと思っている部分が多いのでそこは自信があります。

――今年3月の日本代表戦では、最前線といえるポジションで出場しました。森保一監督率いるチームの印象はどうでしょう?

上手さとともにすごく勢いがあるチームだと感じました。若くて、みんなが伸び伸びプレーしていて、いいチームだなと。

ベルギーでの成長、遠くなる「世界」

――ベルギーリーグで一年プレーして、Jリーグとの違いはどのように感じました?

仕掛けられる場面で「行く」と判断する速さなど、スピード感がやはりすごく違います。ディフェンスの枚数が多いので、前の2人だけで行き切っちゃう場面も多いですね。その分Jリーグと比べると試合は間延びしているイメージです。

――ベルギーリーグでのプレーは日本人選手にとってどのようなメリットがありますか?

ヨーロッパでプレーすること自体に意味があると思います。ベルギーリーグからは毎年良い選手がステップアップしていますし、上を目指している選手にとってそこはメリットになりますね。

――海外に出て気付いたことや、自身が変わったことなどはありますか?

サッカー観はすごく変わりました。日本にいる時もよくヨーロッパのサッカーを見ていて、「全然できるな」と思っていたんですけど、実際ヨーロッパでサッカーをして、それから試合を見ると、スピードの重要性がより一層感じられるなど見え方が変わりました。

向こうでもよく試合を見ますが、トップレベルの試合などは日本にいた時よりも“遠い世界”のように感じるようになりました。

――これまでドイツとベルギーでプレーしています。言葉のほうはどうですか?

覚えるのが早いほうではないので、その才能はないのかなと僕自身では思っています。シント=トロイデンではチームは英語でしたけど、フランス語を話す人が多かったのでその両方を勉強する必要がありました。

――在籍しているフランクフルトは2018-19シーズン、UEFAヨーロッパリーグでベスト4に入りました。チームの戦いぶりを外からどのように見ていました?

シント=トロイデンで点を取って色々言われていましたけど、フランクフルトが良かったので僕自身は嬉しさの反面、悔しさや悲しさもありました。

僕がベルギーで15点以上入れても、フランクフルトで同じような活躍をしている選手がたくさんいましたし、嬉しいよりも焦りなどのほうが強かったです。

――新シーズンはひとまずフランクフルトへ戻られることになると思いますが、一年前の自分とどういった違いを持ってプレーできそうですか?

僕自身は何も変わりませんが、周りの見る目が少しは変わっているのかなと思います。

――最後に、2019-20シーズンの目標を教えてください。

1年間を通して試合に出続けることです。試合に出続けられるということはある程度の活躍をしている証拠でもありますし、自分の価値を上げるためにもまずはそこが大事になってくると思います。

鎌田 大地

1996年8月5日生まれ(22歳)
アイントラハト・フランクフルト所属
日本代表2試合出場0得点