都市部でも排ガス削減や燃費向上に効果あり!

 インターネットでアイドリングストップについて検索すると、「アイドリングストップ うざい」「アイドリングストップ 無駄」といったフレーズが見つかり、ネガティブな印象を持っている人も少なくないようだ。具体的には、

・車両価格が高くなる
・バッテリーの消耗が早い
・タイミングベルトなどの劣化がすすむ
・アイドリングストップ中にエアコンが効かなくなる

 といったところを、アイドリングストップのデメリットに挙げている人が多い。しかし、どんなもんだろう? バッテリーの消耗が早いというが、アイドリングストップシステム搭載車には、専用バッテリーを使うのが基本。

 専用バッテリーは大容量でクイックチャージ性能に優れ、長寿命化といった特徴がある。価格は確かに普通のバッテリーより高価だが、寿命そのものは2〜5年と、アイドリングストップシステムがないクルマと大差がないはず。10年10万km乗るとして、交換回数は2回ぐらいで済むはずなので、それほど気にしなくてもいいのでは?

 タイミングベルトなどの部品劣化を気にする人もいるが、これらの交換時期は10万km。これもアイドリングストップの有無にあまり影響されないし、ゴム製のベルトではなくもっと寿命が長いタイミングチェーンのクルマも増えているので、無視していいレベル。

 エアコンも車種にもよるが、室内の温度が約20度以下のとき、または室内の温度が約30度以上のときは、アイドリングストップにならない=エアコンが効くようになっているので、室内はそれほど不快にならないはず(アイドリングストップ中、エアコンは送風に切り替わる)。

アイドリングストップ車でネックになるのはやはり車両価格の高さ

 というわけで、アイドリングストップ車でネックになるとしたら、車両価格の高さぐらいだろう(5〜10万円ぐらい割高になる)。しかし、日産の調査によると東京都内の都市部を実走した結果、「1時間のうち22分は赤信号で停止」というデータがある。

 また、岩手県立大学のリポートでも、走行時間内の停止時間の割合は全国平均で24%、都市部については47%という結果が出ているので、仮にこれらの停止時間の半分でアイドリングストップが働いたとしても、やはり燃費や排ガス面でのメリットは期待できるはず。

 実走テストでも、アイドリングストップが働くと平均で5.8%、都市部では13.4%の燃費向上があり、JAFのテストでも120kmのドライブで、約800ccの節約になったことがわかっている。

 このぐらいの燃費向上では、車両価格が高くなった分を燃料代で相殺しようとすると、10万kmぐらいは乗らないと割が合わないかもしれない。しかし、逆にいえばアイドリングストップに馴染めない、違和感があるといったことを理由に、アイドリングストップのキャンセルボタンを押すということは、そのまま5〜10万円もするアイドリングストップシステムを無駄にしてしまうというわけで、最大の無駄になるのでは?

 したがって、よほどのことがない限り、アイドリングストップ機能がついているクルマなら、基本的にその機能を最大限生かした方が、経済的にメリットがあるといえるだろう。