婚活は、どんなに頑張ってもうまくいかないことがあるものです。写真と経歴だけではわからない、婚活の間違いを指摘します(写真:プラナ/PIXTA)

「何年も婚活をしているのに、いまだ結婚できる相手に出会えない。なぜ自分だけ決まらないのか」婚活者の中には、そう思っている人たちもいるだろう。

仲人として婚活現場に関わる筆者が、毎回1人の婚活者に焦点を当てて、苦悩や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、「あなたの婚活の間違いを正す」だ。

婚活歴3年弱で50人以上と交際

先日、“婚活をして3年になる”という男性、吉本修一(41歳、仮名)から、問い合わせメールが来た。

「2016年から婚活を本格的に始めて、結婚相談所にも4社に在籍しました。50人以上と仮交際しましたが、真剣交際に入る前に交際終了となることがほとんどです」

メールには、プロフィールが添付してあった。都内の大手企業に勤めており、年収は700万円。誰もが知っている有名大学を卒業していて、写真はスポーツマンタイプのハンサム。

写真と経歴だけ見ると、なぜ結婚が決まらないのか不思議だった。お見合い写真はお見合いを組む呼び水なので、かなり盛ってきれいに撮ることが多い。写真と実物に乖離があるのか? まずは、面談をしてみることにした。


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やってきた吉本は、お見合い写真通りの男性だった。大学時代、体育会系部活に入っていたというだけあって、がっしりとした筋肉質の体系で、清潔感があり爽やかな印象だ。

彼は、面談室で座るやいなや、私に聞いてきた。

「僕のパッと見は、どうですか? どこがダメですか?」

その言葉からも、婚活がうまくいかずに切羽詰まっている様子がうかがえた。

「爽やかなスポーツマンという印象ですよ」と答えると、大きなため息をつきながら言った。

「お見合いは3年間のうちに、100回くらいしたと思います。50回までは記録していたんですが、そこを超えたときからむなしくなって、数えるのをやめました。3年間で婚活に投資したお金は、軽く200万円を越えています。それがすべてパァです」

男性によくありがちなのだが、婚活した時間とそこにかかったお金のコストを計算する。そして、ぼやく。

「婚活ほど、コスパの悪い活動はない」

吉本は、続けた。

「お見合いでもデートでも、僕は女性にお金を払わせたことは一度もないですよ。それなのに女性の中には、『ごちそうさま』も言わない人がいる。当たり前の顔をしてレジの前を素通りして、『今日は、ありがとうございました』もなく別れて、翌日、相談室を通じてお断りが来る。こんな態度を取られると、食い逃げされた気分ですよ」

結婚相談所には、“お断りは、仲人を通して伝える”というルールがあるので、デートの翌日に、いきなり “交際終了”が来るのは仕方ないことだ。女性たちがデートの別れ際に愛想が悪かったのも、“もうこの男性と会うことはない”と思ったからだろう。しかし、「ごちそうさまでした」「ありがとうございました」と、お礼を言うのは、女性たちも最低のマナーではないだろうか。

「飲食3回の壁」が越えられない

「以前の記事で、“婚活には、飲食3回の壁”があると書いていましたよね。その3回の壁が越えられない。お見合いの後、1回か2回食事をすると、お断りが来てしまうんです」

“飲食3回の壁”とは婚活の不文律で、お見合いをして“可もなく不可もなし”だった場合は、もう一度会ってみようと“交際希望”を出すことが多い。そして、次のデートに進み、ここでも“可もなく不可もなし”だったら、もう一度だけ会って判断をしようとする。しかし、3回目に会ったときに“可もなく不可もなし”だったとすると、4回目に“また会ってみよう”という気持ちにはならない。それが、人間の心理だ。

「お見合いを始めて20連敗したときに、何が悪いのが自分ではわからなかったのでネット検索をして、恋愛セミナーに行ってみたんです。そうしたら、『人の気持ちをつかむには、“さしすせそ”があります』って、そんな程度の内容でした(苦笑)」

これは、話し方教室や恋愛セミナーでは鉄板で教えていることだ。話の相づちに「さすが〜」「知らなかった!」「すご〜い」「センスいいですね」「そうなんですね」を使うと、相手の気持ちがつかめるというものだ。

「おいおいおい、そんなのどこにでも書いてあるし、もう知っているし。知りたいのは、そういうことじゃないんだ、と思っちゃったんですね」

さらに、吉本は続けた。

「僕は、大学時代は部活と勉強に明け暮れて終わってしまったし、社会に出てからも、恋愛らしい恋愛をしてこなかった。この連載の過去記事に、『恋愛経験のない人は、とにかくバッターボックスに立て』ということが書いてあったけれど、やり方もわからないのにバッターボックスに立ったって、100球のボールが来ても100球空振りになりますよ。

軍隊でブートキャンプに入れば、弾の撃ち方を教えてくれますよね。婚活も一緒で、自分がどこをどう直せばいいのか、どうすれば成功するのかを個別でチューニングしてほしいんです。そのやり方が知りたいんです」

婚活が成功しない人への処方箋

吉本は1時間の面談のうちに、ここには書き尽くせないほどの迷いを口にした。

努力家なのだろう。だから猛勉強をして、いい大学に入った。大手企業に就職をした。仕事では成果を残しているという自負ある。

婚活にも人一倍努力をした。恋愛や婚活を成功させるためたくさんの書物を読み、結婚相談所を4社ハシゴし、お見合い回数を重ねてきた。頑張ってきただけに、うまくいかないことがもどかしく、腹立たしいのではないか。

私は、吉本に言った。

「まず、ここだけは押さえておきましょう。婚活は、どんなに頑張ってもうまくいかないことがある。なぜなら努力をしても、人の気持ちだけは手に入らないことがあるからです」

そして、こんな説明をした。

男性は、女性を好きになるときに見た目から入る。見た目がタイプなら、多少性格が悪くともその女性を好きになる。ところが、女性は男性をトータルで評価して好きになる。もちろん、男性の見た目がドンピシャのタイプだったら、一瞬で恋に落ちるかもしれない。

しかし、多くの場合、見た目がタイプでなかったとしても、話をしていて面白かったり、優しかったり、経歴が素晴らしかったりすると、トータルのバランスを見て、それで好きになっていく。

男性と女性とでは、異性を好きになるスピードが違うのだ。

「吉本さんみたいなタイプは、気に入った女性には猪突猛進。早い段階で、ものすごく一生懸命になってしまうと思うんですね。でも、女性はまだ男性を好きになっていないから、その一生懸命さに気持ちが引いてしまう。最初はどんなに好きでもゆる〜く、手綱を持つような感覚でいたほうがいいんです」

飲食3回の壁についても、こんな説明をした。

「これは、3回をただ突破すればいいというものではないんですよ。成婚していくカップルというのは、間を空けずに3回の飲食を終えているんです」

初めてのお見合いを週末にして交際に入ったとしたら、まずは週半ばの水曜か木曜に軽く食事に行く。その後、週末にデートをして、さらに次の週の水曜か木曜に食事をする。そうすると、3回のデートが10日あればできるのだ。もしも、ウィークデーに会うのが難しいなら、最低でも1週間に1回は必ず会う。

「お見合いの後に、2週間も3週間も1カ月も会うことができなかったら、その人とは、そもそも進展しない。お見合いから1週間後に食事ができたとしても、次に会うスケジュールがなかなか出て来なくて、3週間、1カ月先にやっと会えることになったら、ここでも3回の壁の突破は難しくなるんです」

この説明をすると、吉本は言った。

「確かに今までの女性たちは、一度会うと次のデートの日程が2、3週間先という人が多かったです。で、やっと会えたと思ったら、翌日にお断りのパターンでした」

また、もっと突き詰めて言えば、飲食3回の壁のスタート地点で、「可もなく不可もなし。じゃあ、まずは、交際希望を出して会ってみよう」という相手とは、ほぼうまくいかない。お見合いして、「今日の方は、話も楽しかったし、すごくよかった。ぜひ交際希望を出したい!」というところからスタートしていないと、成婚へと結び付くのは難しいのが実情だ。

「もう1つ、成婚に結び付かない人の特徴は、メールやLINEのレスが遅いことです。LINEを入れて、その返事が翌日の夜や翌々日に来るような相手は、そもそも吉本さんに気がないか、どなたと出会ってもそんな調子。そういう方は、結婚に向かって積極的に動かない。動かない人は、ダラダラと何年も婚活を続けるけれど、結婚までは進まない」

さらに、「毎日のメールやLINEは苦痛。何を書いていいかわからない」と思った時点で、相手に興味が持てていないということだし、そういう相手とはご縁がないのだ。

うまくいく婚活、いかない婚活

私の話を一通り聞くと、吉本が言った。
 
「最近はお見合いが決まっても、“また振られるんじゃないか”。交際になっても、“また食い逃げされるんじゃないか”って、思ってしまうんですよね」

婚活疲れを起こしているのだろう。そこには、こんなアドバイスをした。

「まずは婚活をする気持ちを初期化しましょう。今の吉本さんは、気持ちがすべてマイナス方向に振れている。会いに行く前から失敗することを考えたり、デートの前からお断りされることを考えていたりする。

気持ちがマイナスでいると、どんな会話をしていても、話の最後がマイナスで着地するんですよ。それが女性との会話にも出ているんじゃないですか。だから、女性は、“この人といても楽しくない”と思ってしまう」

そして、先日私が会員同士のお見合いに、30分着席したときの話をした。

男性会員は、生まれて初めてのお見合いだった。大阪出身の彼に、女性が、「大阪って、やっぱり粉物文化ですよね。一家に一台たこ焼き器があると聞きますし」と話を振った。すると、こんな返しをした。

「大阪の粉物はおいしいですよ。でも、うちにはたこ焼き器はありません。あと、こっちに住むようになってからは、たこ焼きは食べませんね。関東のたこ焼は、油をたっぷり使って揚げ焼きする。あれはたこ焼ではありませんよ」

油で揚げる話題から、フライドポテトの話になった。女性は、「ファストフードのフライドポテトって、ついつい食べちゃいます」と茶目っ気たっぷりに言った。それに対しての彼の答えが、こうだった。

「〇〇のフライドポテトは、塩っ辛い。この間、『塩を振る量を減らしてもらえませんか?』と頼んだら、『新たに作るのでお時間かかるけれど、いいですか?』と言うんで、待つのも面倒だから、『じゃあ、できているのでいいです』と言って、食べるときに1本1本塩を落として食べましたよ」

このお見合いを終えた後に、私は彼に、「あなたの会話は、すべてがマイナスな方向に振れていて、着地点がすべてマイナスだったわよ」とフィードバックした。

彼にまったく悪気はなかったし、自分がマイナスな会話をしている意識はなかった。

「言われて初めて気がつきましたよ。大阪って自虐して笑いを取るようなところがあるから、何か自分を落とす癖が身に付いているのかもしれないですね。これから気をつけます」と、とても素直に、私のアドバイスを聞いてくれた。

マイナスなことを言っていると、負の連鎖を呼ぶ

この話をすると、吉本にも気づくことがあったようだ。

「確かに今、指摘された通りです。僕の話は、マイナスにばかり着地していました」

物事は、プラスに捉えるか、マイナスに捉えるか分かれるが、プラスとマイナスでは、マイナスに引っ張る力のほうが強い。だからマイナスなことを言っていると、物事はどんどんそちらに流れていくし、負の連鎖を呼ぶ。

「同じ話題で話をしても、着地点がプラスになるか、マイナスになるかで、その話の印象が、ガラリと変わっていくんですよ」

私の言葉に、初めて晴れやかな表情を浮かべて吉本が言った。

「今、1つ組めているお見合いがあるんですけど、それには、これまでとは違う心持ちで臨みたいと思います。話の着地点は、プラスになるように心がけでみます」

ぜひとも、女性が楽しい気持ちになれるようなお見合いを心がけてほしい。