米CNBCの報道によると、米アマゾン・ドットコムは出店業者の利用規約を改定する。今後は、規約に違反する事業者のアカウントを停止したり取引を終了したりする際、30日前に通知し、その理由を説明するという。

 同社は7月17日に、ドイツの独占禁止法当局である連邦カルテル庁とマーケットプレイスの利用規約に関して合意したが、今回の規約改定はそれを受けた措置となる。今年(2019年)8月16日から、ドイツだけでなく欧州の他の国や米国、アジアなどの世界の出店業者に適用されるとCNBCは伝えている。

 これまではアマゾンに取引停止の説明義務はなかった。規約には「(当社は)出店業者に通知することで、いつでも取引の終了または一時停止を行うことができる」という条文があった。

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EU、アマゾンの調査開始

 こうした中、同社のeコマース事業に対し、規制当局が監視を強めている。欧州連合(EU)の欧州委員会は7月17日、同社がEUの競争法に違反している疑いがあるとして正式な調査を始めたと発表。アマゾンが販売データを不当な方法で使用し、自社マーケットプレイスで出店業者の競争力を弱めていないかどうかを調査するという。

マーケットプレイスは重要な収益源

 一方、マーケットプレイスはアマゾンにとって重要な収益源となっている。ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は今年4月、株主あての書簡で、同社の物品販売総額のうち、出店業者の占める比率が58%になったことを明らかにした。

 この比率は、1999年時点で3%、10年前で30%だった。出店業者の年間販売額は1999年時点で1億ドルだったが、昨年は1600億ドルに上った。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、出店業者はアマゾンの利益拡大に大きく寄与している。例えば同社が直接商品を仕入れて販売する場合、その営業利益率は1桁台の前半だが、出店業者の販売分では20%台になるという。

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偽造品販売業者の判定システムが不完全

 ただし、出店業者はアマゾンにとって悩みの種でもある。その数が増えることで、偽造品も増えるからだ。そこで同社は上述した規約を設け、偽造品の排除に向けた取り組みを強化していた。

 ところがCNBCによると、アマゾンのシステムは不完全で、誤判定することが多々あるという。ライバルの出店業者の事業を妨害する目的の虚偽報告も見抜けないという。今回、導入される事前通知の制度で、あらぬ疑いをかけられた業者は自社事業の正当性を主張するための30日間が与えられる。しかし、問題の根本的な解決にはなっていないといった批判の声も上がっているという。

筆者:小久保 重信