市原中央vs市川
ノーシードからベスト8まで勝ち進んだ市原中央は、木更津総合と学校法人（君津学園）が同じで兄弟校という立場で地道に力をつけてきた。一方、県内を代表する進学校として注目される市川も限られた練習時間の中で、実力をつけ、快進撃を見せてきた。
試合は1点を争う好勝負となった。3回裏、一死満塁のチャンスを作り、5番保谷優太（2年）の遊撃内野安打で2点を先制。さらに4回裏にも2番�彭槻匯福�2年）の左前適時打で3点目を奪った。
そして左腕・伊藤 駿介（2年）は125キロ前後の速球、スライダー、カーブを投げ分ける丁寧なピッチング。要所でスライダーが外角ぎりぎりに決まるコントロールは素晴らしいものがある。
さらに7回表から兼岡守（2年）が力投。そして8回途中からエースの入口翔太（2年）が登板し、見事に完封勝ちで、ベスト4進出を決めた。
突出とした投手はいないが、どの投手も自分の間合いで勝負ができて、単調にならずに投球ができる。そのため点数を取られない投球ができる。
また野手陣のレベルも高く、守備範囲が広く、深い位置から刺せる肩の強さを持った遊撃手・金城烈、確実性の高いスローイングと複数の投手陣を粘り強くリードする小関寛太（2年）、身体能力の高さを生かし、攻守で力強いプレーを見せる中堅手・野崎大地（2年）とバランスが取れた選手が多い。
敗れた市川はエースの加來壮太郎は連投になっても投球のクオリティは落ちなかった。常時125キロ前後の速球は両サイドに投げ分けができており、追い込んでからストレートの精度が増している。これほど一大会通して精度の高い投球ができるのは驚きだった。知る人ぞ知る技巧派左腕だったが、今大会の活躍で県内屈指の技巧派左腕へ成長した。
またエースを盛り立てる守備も堅いものがあった。昨秋の一次予選ではコールド負けからのスタート。見違えるように選手たちもチームも成長した。
(文＝河嶋 宗一)
