外遊を終え帰国する蔡英文総統を見送るデンバー在住の台湾の人々

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(台北 22日 中央社)蔡英文総統のカリブ海歴訪では、5つの「初」が記録された。専門家は、台米関係の非常に大きな進展が示されたとの見方を示す。

蔡総統は11日に台湾を出発し、外交関係を持つカリブ海のハイチ、セントクリストファー・ネービス、セントビンセント・グレナディーン、セントルシアの4カ国を訪問。往路では米ニューヨーク、帰路では米コロラド州デンバーに立ち寄った。22日に台湾に戻った。

今回の外遊で記録した「初」は、過去最長4泊の米国滞在▽米コロラド州立ち寄り▽米国本土でメディアと懇談会、ジェームズ・モリアーティ米国在台協会(AIT)理事長が米国滞在中のほぼ全行程に同行▽駐ニューヨーク台北経済文化弁事処(総領事館に相当)で公の活動▽セントクリストファー・ネービスのネービス島訪問―の5つ。

台湾シンクタンク(台湾智庫)の董立文諮詢委員は、今回の米国立ち寄りの行程から、台米関係に非常に大きな進展があったのは明白だと分析する。一方で、マクロの視点からみると、米国側の対応は米国のインド太平洋戦略の布石の一つでもあるとの見解を示す。これまで米政権は対台湾政策を対中政策の一環としてきたが、トランプ政権はこの2つを区別し、分けて対応しようとしていると指摘した。

与党・民進党の郭正亮立法委員(国会議員)は、蔡総統の今回の米国立ち寄りの規格は正式訪問に準ずるもので、国家の元首に相応な尊厳が与えられたと言及。かつての総統の米国立ち寄りでは、同行記者は総統の行程を直前にしか知らせられていなかったのに対し、今回は事前に発表されたことや、総統が現地在住の台湾人と自然なやり取りを行っていたことを挙げ、公式訪問に相当する待遇だったとの見方を示した。

一方で、丁樹範・政治大名誉教授は、蔡総統が今回米国で良い待遇を得られた背景には、米中貿易摩擦によって台湾の立ち位置が特殊になったのに加え、対中強硬姿勢が米国内において最大の共通認識となったことがあると指摘する。蔡総統が連邦政府の高官と面会できなかったのは玉にきずだったとし、敏感な計らいに対しては慎重に対応する米国の姿勢が示されたと述べた。

(顧セン、温貴香/編集:名切千絵)