RM Sotheby's

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ボディペイントが完全に剥げたこのアストンマーティンを、"味わいのある"と表現するのはあまりにも簡素であるかもしれない。このルックスこそ、車が辿ってきたヒストリーを表しているのだ。

一見汚く劣化していて、ポンコツ車のようにすら見える1台は、1957年 アストンマーティン DB2/4 Mk IIだ。同モデルは、アストンマーティンの故郷であるニューポート・パグネルで製造されたはじめてのモデルであった。

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そして、シャシーナンバー AM300/1293を持つこの1台は1957年 7月26日にイングランドにあるクリル・ウィリアムズ・モーターズで販売されていた。当初はブラックのボディで、1995年まではカリフォルニアにて所有されていたそう。しかし、そのオーナーはかなり車の扱いが悪く、レストアを自分でしようとしながらも結局完成させずに、そのままカリフォルニアの乾燥地帯で放置していたのだ。塗装も自己流で剥がすだけ剥がして終わらせていた。



そして、2008年にカリフォルニアでアストンマーティンのスペシャリストでもあり、コレクターでもあるドン・ローズが発見した。アルミニウムむき出しの姿だったが、ドンは車の価値をよく理解しているためすぐにレストアスペシャリストのケヴィン・ケイのもとへと預けた。

ケヴィン・ケイではコンクールクオリティにまでメカニカルのレストアを施すことが出来る。シャシーは綺麗にされ、細部に修理が加えられたが、インテリアには一切手を加えなかった。ケヴィンは反対したそうだが、ボディワークはそのままにしてくれとドンが頼んだのだ。また、変速機を5段にすることも提案したが、ドンはあくまでも4段にこだわり続けた。サスペンションやブレーキに関しても、安全性に問題が出ない程度に整備が施されただけだという。とは言え、スペシャリストの手が加わり、エンジンなどメカニカル系統はすべてピカピカだ。



RMサザビーズのレストア部門がこの車に手を施したいと申し出たところ、ドンはとにかくこのままの姿を残してくれと何度も注意したそうだ。

「この車が修理されることを恐れているわけではないよ。ただ、他の車と同じようにレストアしたくないだけだよ」とドンは話す。彼の言葉の通り、ボディのデコボコや剥げたペイント、"Press on Regardless"のステッカーなどはすべてそのままで残されている。



最も新しいオーナーは、2013年にミッレ・ミリアを終えたままの姿でヴィラ・デステの会場に止まっているこの車を見て一目ぼれしたのだそう。見た瞬間に、所有しなければならないと感じたという。そして、ホットロッドカーに付けられているような"Can’t Be Crushed"の文字を刻んだ。



イエローのバグスクリーンからデイヴィッド・ブラウンのバッヂ、様々な文字など目に見える歴史が刻まれているDB2/4 Mk IIは8月にオークションへ出展され、新たなヒストリーを刻んでくれるオーナーを探すとのこと。