修徳vs上野学園

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上野学園・赤坂、最速149キロの力投で修徳を下し、悲願の準決勝進出を果たす

 東京では、準々決勝から勝利した学校の校歌が流れるが、試合後、上野学園の小川貴智監督は、「神宮球場で校歌を歌いたかった。嬉しかったです。言葉が出ません」と。言葉を詰まらせながら語った。

 勝利の最大の立役者は、エースの赤坂 諒。この夏、彗星のごとく出現した新スターだ。その存在は、語られてはいた。しかし、昨夏は故障で出場できず、秋、春は1次予選で敗れ、都大会に出場していない。まさにベールに包まれていたわけだが、この夏は連日登板し、その球威をみせつけている。

 対する修徳は5回戦の大森学園戦で9回裏二死から安打4本を連ね、5年連続で準々決勝に進出している。エース・結城貞斗は、最速は130キロ台の後半であるが、変化球をまじえながら、好投していた。

 この試合、先取点を挙げたのは修徳だった。二死二塁から7番・八十原有輝の中前安打で二塁走者が還った。

 1点を失っても、上野学園の赤坂は冷静であった。初回は140キロ台の速球を投げ込んでいたが、2回頃からややサイド気味のフォームから丁寧な投球をする。「ストライク先行で、抜く時は横からになります」と赤坂は言う。赤坂は落ち着いた投球で、走者を出しながらも得点は与えない。

 局面を変えたのは、赤坂自身のバットだった。5回表四球の川邉瑠雅を一塁に置いて、9番の赤坂の振り遅れた打球はライト線に落ちる二塁打となり、川邉が生還。同点に追いつく。さらに赤坂は送球間に三塁に進み、1番・成川玲央のスクイズで生還。逆転に成功した。

 リードした上野学園は、エース・赤坂が安定感抜群の投球を繰り広げる。中盤は抑えていた球速も、終盤に入ると上がってくる。 9回表上野学園はこの回から登板した2番手の長柄壮佑から赤坂が当たり損ねながらレフト前に落ちる安打で1点を追加する。

 粘りの修徳は9回裏、3番の染田棟晧がレフト線の二塁打で出塁する。すると上野学園の赤坂のギアは一気に上がっていく。2アウトを取ってから、最後の打者には149キロを記録。圧巻の投球で試合を締めくくった。

 18日〜20日まで3日連続で投げ、中1日の準々決勝でも驚異の投球。上野学園の赤坂は、東東京大会の優勝の行方を左右する存在になった。

 一方、修徳は驚異の粘りでこの大会を盛り上げたが、5年連続で準々決勝敗退となった。今年から指揮官となった荒井高志監督が、秋に向けてどういうチームを作って来るか注目したい。

(文=大島 裕史)

2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会■開催期間:2019年7月7〜7月27日(予定)■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会】■展望コラム【【東東京大会展望】二松学舎大附の夏三連覇を阻むチームは現るか?東東京大会を徹底解剖!】