関東一vs立正大立正

写真拡大

関東一、平泉の本塁打で流れを作る!谷、成長の四死球2

 関東一の米澤貴光監督は、高校時代、現日大三監督である小倉全由監督の指導を受けた。立正大立正の内田和也監督は、2001年に日大三が全国制覇した時のメンバーであり、いわば、小倉門下生対決となった。「(立正大立正は)年々いいチームになっていると思います。うちも負けないようにしないと」と関東一の米澤監督は語る。とはいえこの試合では、小倉門下生としては先輩になる米澤監督が貫録を見せた。

 立正大立正は背番号18の右腕・吉良貴大が先発。力のある球で1回表を三者凡退で切り抜ける。「先発投手の予想が違いました。勢いのあるボールに面食らいました」と、関東一の米澤監督は語る。

 そんな流れを変えたのは、4番の一発だった。2回表関東一は、この回先頭の4番・平泉遼馬が初球を叩くと、打球はレフトスタンド中段に達する本塁打となり、関東一が1点を先制する。この一発の後、5番・野口 洋介の二塁打や2つの四球で二死満塁。制球が乱れた吉良は、1番の大久保 翔太、2番・藤松丈一郎に連続死球で押し出しの2点を献上した。

 関東一は3回表も立正大立正の2番手、横手投げの濱悠喜を攻め、4番・平泉のレフト線の二塁打に6番・村岡拓海の左前安打で1点を追加した。

 関東一の先発は背番号10の谷 幸之助。谷は最速147キロの速球を投げる東東京屈指の速球投手であるが、いい時と悪い時の差がはっきりしているという問題を抱えている。

 1回裏マウンドに立った谷は、立正大立正の1番・渡部竜成にあっさり四球を与える。谷の悪い面が出たかと思われたが、この回は無失点に抑える。

 球速は130キロ台の後半。「7、8割の力で投げ、打ち取ることを意識しました」と谷は語る。スコアを見ると、ボールを示す●が目立つが、四死球は2個だけ。「ボールが先行しても、彼なりに丁寧に投げています」と関東一の米澤監督は語る。

 一方立正大立正の濱は、交代当初こそ失点したが、徐々に落ち着きを取り戻し、走者を出しても得点は許さない。ただ、徐々に疲労がみえはじめ、8回表には2つの死球で一死一、二塁とし、8番・渋谷嘉人の中前安打で二塁走者は一気に本塁を突くが、中堅手・渡部の好送球により本塁で憤死した。

 しかし9番・谷に四球を与え満塁となり、1番・大久保は死球でまたも押し出し。2番で途中出場の重政 拓夢がレフト線を破る走者一掃の二塁打を放ち、3点を追加。3番・平川嶺の左前安打で重政も生還してこの回5点目を挙げて9対0。その裏を谷がしっかり三者凡退で仕留めて8回コールドが成立した。

 最後は力尽きた形の立正大立正であるが、年々力をつけており、今回の準々決勝進出につながった。

 勝った関東一は、谷が悪いながらも、しっかりと抑える投球ができたのは大きい。「今までみんなに迷惑をかけてきました。最後は甲子園に行きたいです」と谷は語る。関東一はもともと力のあるチーム。8回を被安打2、四死球2、奪三振5、失点0の投球をした谷の成長により、より盤石になりつつある。

(文=大島 裕史)

2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会■開催期間:2019年7月7〜7月27日(予定)■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会】■展望コラム【【東東京大会展望】二松学舎大附の夏三連覇を阻むチームは現るか?東東京大会を徹底解剖!】