厳選!2歳馬情報局(2019年版)
第9回:ヴァーダイト

 今年の2歳世代には、兄・姉に活躍馬を持つ若駒が多数いる。そのなかで、近年多くの重賞勝ち馬を出しているファミリー出身の1頭が脚光を浴びている。

 栗東トレセンの音無秀孝厩舎に所属するヴァーダイト(牡2歳/父ディープインパクト)である。

 母はクリソプレーズ。ここ最近、次々に活躍馬を送り出して、注目度が増している繁殖牝馬だ。

 その筆頭は、2011年に生まれたマリアライト(牝/父ディープインパクト)。ヴァーダイトの全姉にあたる彼女は、4歳時にオープン入りして頭角を現すと、その年の秋にGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を制した。


ヴァーダイトの姉マリアライトは宝塚記念で牡馬一線級を蹴散らした

 さらに翌年、牡馬を含めて古馬の一線級が集うGI宝塚記念(阪神・芝2200m)に挑戦。8番人気と伏兵扱いの存在だったが、レースではその評価を覆す圧巻の走りを披露した。二冠馬ドゥラメンテや、その後に現役最強馬に君臨することになるキタサンブラックらを一蹴し、見事な勝利を飾ったのだ。

 そんなマリアライトの他にも、輝かしい実績を残してきた兄姉はいる。2010年生まれのクリソライト(牡/父ゴールドアリュール)は、地方交流GIのジャパンダートダービー(大井・ダート2000m)を含め、ダート重賞で通算6勝を挙げた。

 また、2012年生まれのリアファル(牡/父ゼンノロブロイ)は、GII神戸新聞杯(阪神・芝2400m)を快勝し、GI菊花賞(京都・芝3000m)でも3着と健闘した。

 そして、直近でも大物の兄が登場。2016年生まれのクリソベリル(牡3歳/父ゴールドアリュール)だ。デビューからダート戦線を歩んできて、現在4戦無敗。先日、ジャパンダートダービーを制して、「砂の新星」として今後の活躍が大いに期待されている。

 まさに凄まじい勢いを見せている血筋ゆえ、ヴァーダイトへの期待が高まるのも当然だろう。 

 同馬の育成を務めたノーザンファーム空港牧場の樋口政春氏は、春の時点でこんな評価を口にしていた。

「(ヴァーダイトは)育成を始めたばかりの頃は少し華奢に見えたのですが、そこからすばらしい成長を見せてくれました。今年、見ている馬の中で一番成長したかもしれません。体にしっかり幅が出てきて、すごくいい馬体になりましたね」

 ちなみに、母は芝とダート、どちらの路線でも活躍馬を出している。ヴァーダイトは父ディープインパクトの仔だけに、やはり芝路線での台頭を見込んでいるようだ。樋口氏が続ける。

「ディープインパクト産駒らしく、軽い走りとフットワークを持っていますね。ダートで活躍するひとつ上の兄クリソベリルとは違うタイプではないでしょうか。芝向きだと思います。速いタイムも楽にこなしており、すばらしい体力ですね」 これから一段と調整を重ねて、おそらくデビューは秋になる見込み。勢いづく”華麗なるファミリー”からまた1頭、重賞戦線で猛威をふるう馬が出てくるのか。ヴァーダイトの動向からは目が離せない。