新社会人の約半数は「10年以内に転職したい」〜柔軟な「働き方」を求める社員と、企業ニーズとのギャップ〜

写真拡大

 人材情報サービスを提供する株式会社マイナビが、2019年4月に新卒で入社した新社会人800人を対象にアンケートを実施した。調査期間は、入社から約1カ月経った5月7日〜8日。「働き方改革」が叫ばれる中、新社会人は「働くこと」をどう捉えているのか。

◆新社会人にとって「転職」は身近なもの

 新社会人を対象にマイナビが実施した『2019年新入社員1カ月後の意識調査』。この調査結果で特筆すべきことは、「あなたは、今の会社で何年ぐらい働くと思いますか?」という問いに対して、「10年以内に転職したい」と回答した人が全体の46.9%を占めたということだろう。

 現在の大手企業における管理職層には、「終身雇用が当たり前」「新卒で入社した会社で、定年まで働く」という意識がいまだに根付いている。「自分の時代はそうだったから」という単純な理由で、そう考えてしまうことも無理はないだろう。しかし、新社会人の世代にとっては、「転職」というものがとても身近で当たり前なものとして捉えられている。時代の変化とともに、「働くこと」への考え方も、着実に変化している。

◆男性だって「ライフステージに合わせて働き方を変えたい」

 また、「10年以内に転職したい」と回答した人に対して「今の会社で、ずっと(長く)働きたいと思わない理由を教えてください」と質問したところ、「ライフステージに合わせて働き方を変えたいから(結婚・出産など)」との回答が44.4%で最多となった。

 これだけを見ると、転職したい人のほとんどは女性なのではないのか、という疑問もあるだろうが、実は違う。もちろん女性の方が60.8%と割合が大きかったが、男性の回答者の21.7%も「ライフステージに合わせて転職したい」と考えている。

 昨今、職場における「ライフステージ」という言葉は、いわゆる「女性活躍推進」の文脈で使われてきた。結婚、出産、配偶者の転勤など、女性をめぐるプライベートな環境の変化に応じて、女性が退職の道を選ばずに働き続けるにはどうしたら良いのか。それを考え、企業側は育休などの制度を充実させたり、積極的な管理職登用に踏み切ったりしている。しかし、これらは本当に「女性活躍推進」の文脈だけで語られてしかるべきなのだろうか。

 結局のところ、女性の管理職登用や共働き家庭に向けての支援は、功を奏しているとは思えない。子どもを持つ親にとっては、待機児童の問題は解消されているとはいえず、なんとか保活に成功したとしても、育休を明けた後も「小1の壁」など育児と仕事との両立は未だハードルが高い。育休取得後に女性が退職するケースも少なくない。また、配偶者の転勤により、本人の意思とは反して止むを得ず退職に追いやられてしまうことも多い。

◆誰も幸せにならない、形骸化した「女性管理職比率目標」

 女性の管理職登用についても、女性の管理職比率を一定値まで引き上げることを目標として掲げている企業は多いものの、数字ばかりを追いかけて形骸化している場合も多い。

 筆者が数年間勤務した大手日系企業でも女性の管理職比率目標を掲げていたが、「目標水準を達成するために、半ば無理矢理女性を管理職にする」というやり方に対して不愉快に感じる社員は少なくなかった。

 男性社員の中には「女性は優遇されていてずるい」「大して優秀でもないのに、女性だから昇進できるんだ」と嫌悪感を露わにする人もいた。昇進した当人にとっては、そうした周囲からの反感に耐えながら管理職として仕事をしなければならず、また、本来優秀で実力通りに出世したとしても「女性だから」という言葉で片付けられてしまうことに、悔しさを覚える。このように数字だけを追いかけて女性の管理職層を増やすことで、一体誰が幸せになるのだろうか。