誰もいないゴール裏のスタンドからチームの練習に鋭い眼光を送る男がいた。その正体とは……。 写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 現役時代を彷彿とさせる貫禄のセーブ(?)が炸裂した。

 7月18日、プレミアリーグの強豪チェルシーは、翌日に開催される川崎フロンターレとの「ワールドチャレンジ2019」に臨むため、ニッパツ三ツ沢競技場で約1時間半に渡る練習を行なった。

 クラブワールドカップに出場した2012年以来の来日となるブルーズ(チェルシーの愛称)を一目見ようと、平日にもかかわらず、1558人ものファンが殺到。スタンドから青き精鋭軍団たちのプレーに拍手喝采を送った。

 そうした周囲の雰囲気もあり、リラックスムードで進んだ練習のなかで、スタンドがドッと沸いた場面があった。それは中盤からくさびのパスを受けたCFがボールを落とし、それを両サイドの選手が交互にシュートするという基礎的な練習を行なっていた時の一コマである。

 CFのオリビエ・ジルーからの落としを受けた右サイドのケネディがシュート。渾身の左足で放ったショットだったが、ボールは大きく枠を外れて、ゴール裏のスタンドにノートパソコンを開きながらポツンと座っていた男性めがけて凄まじい勢いで飛んでいったのだ。

「危ない!」――誰もが、そう思った瞬間、その男は素早く正面を向くと、なんと素手でいとも簡単にボールを止めてしまった。

 何とも見事な“シュートストップ”であったが、それもそのはずである。この男の正体は、元チェコ代表GKで、チェルシーのレジェンドでもあるペトル・チェフだったのだ。

 昨シーズンまでアーセナルでプレーしていたとあって、現役時代さながらの的確なキャッチングを見せたチェフに対して、スタンドからはどよめきとともに、この日一番とも言える拍手が巻き起こっていた。

 引退後はチェルシーに戻り、アドバイザーとして、トップチームと育成部門の橋渡し役としての活動などを行なっているというチェフ。チェルシーで4度のプレミアリーグ制覇を経験した名守護神のワンプレーを、詰めかけたファンは大いに楽しんだことだろう。

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取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)