Photo by soshi itagaki

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 今年の参院選から導入された特定枠。その中身は「政党が特定の候補者を優先的に当選させる」ものだ。その中でれいわ新選組の山本太郎は、重度障害者2名を選出すると表明。

 障害者運動の観点から、この取り組みは画期的なのか。取材を行ってみた。

◆山本太郎が特定枠に障害者を選んだわけ

 2018年7月13日の夕方、雨が降る渋谷ハチ公前にて、れいわ新選組は2時間に渡る街頭演説を行った。街頭演説終わりに、山本太郎は記者の取材にこう答えた。

「まず国会が変わることが必要になる。障害者に対して合理的配慮を行うことは、これまで通りの国会運営では無理だ。なぜなら当事者がいないから」

 女性の国会議員の少なさが目立つ日本だが、驚くことに障害者の国会議員の数はゼロだ。その現状を山本太郎は、懐疑的に見ている。

 山本太郎が障害者のことを考えたキッカケは、これから日本が向かう将来を彼らが映し出しているから。高齢化社会が加速する中、多くの人が向き合うのは寝たきりだと考えている。

 生産性が重視されると「寝たきりになったらとしたら、何も役に経たないから殺してしまえ」などといった乱暴な議論がこの先の日本で起こる危険性があるというのだ。2018年に起きた杉田水脈発言を想起させる内容となっている。

「2人が入れば、当然障害者に合わせた国家運営というものを考え直さなくてはならなくなる。国会は変わる。この2人を国会がどう受け入れられるのか。それによってどう改革していくのか。この結果が、そのまま全国のスタンダードになっていくと思います。だから大きな意味があると思うんですよ」

◆実際に障害者運動の当事者に聞いてみた

「私たち抜きに私たちのことを決めないで」といったスローガンを掲げ、障害者が意思決定機関に含まれることを目指すれいわ新選組。この取り組みには多くの賛同の声が寄せられたが、当事者からみたらどうなのか。実際に聞いてきた。

 取材に応じてくれたのは、脳性麻痺による障害一級を持つ、世田谷区にお住いの上田要さん(70)。生まれてまもなく高熱を出し、脳性まひの障害を持った。1986年から現在まで33年間、一人暮らしをしている。

 上田さんは、1990年代前半に東急バスから乗車拒否を受け、運動を起こした当事者だ。今となっては当たり前となったノンステップバスだが、設置の背景には上田さんを始めとする障害者運動の活動家の歴史がある。

「今まで口だけだった政治家とは大違いです。今は当事者が声を上げなければいけない時代だから。その仕組みを作ろうとしているあたりが、非常に画期的だと思う」

 記者が「山本太郎の特定枠の使い方についてどう思いますか?」と聞くと、上田さんは強い口調でこう答えた。昨今、選挙の度に「誰しもが住みやすい日本を。多様性溢れる日本を」といった言葉を聞くが、選挙後と比べてみると大きく変わりはないのが現状。

 それどころか、前述した「生産性がない」といった杉田発言や中央省庁による障害者雇用水増し問題など、マイノリティ側が抱える”生きづらさ”は加速するばかりだった。

◆過去に障害者が大臣を務めた経験がある。決めつけをするな

「やらせてみなくては分からないと思います。今の時点で決めつけるのはおかしい。過去にも障害者が大臣を務めた事例もある」

 一方、「障害者に議員は務まるのか」といった声もある。これに対して上田さんは、やってからではないと分からないのではと答えた。

 1999年と2000年の小渕・森内閣で郵政大臣を務めた八代英太氏がいる。36歳のアナウンサー時代に偶然の事故でケガを追ってしまい、脊髄を損傷し車椅子生活を余儀なくされた。しかし、逆境に負けることなく、八代氏はアナウンサーの仕事を全うする他、福祉の充実の必要性を考え選挙に出馬。参議院議員、衆議院議員、大臣と上り詰めたのだ。