川崎フロンターレMF田中【写真:Getty Images】

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今季リーグ戦12試合出場で質の高いプレーを披露 チェルシー戦は“試金石”に

 川崎フロンターレは14日のJ1第19節でFC東京との上位対決に3-0と快勝し、19日には「Jリーグワールドチャレンジ」でプレミアリーグの強豪チェルシーと対戦する。

 Jリーグのクラブが世界のトップレベルを相手に戦う機会は、FIFAクラブワールドカップに出場する以外では稀。今回の対戦は良い試金石となるだろう。

 特に伸び代のある若い選手にとっては、自身を成長させる“気づき”がある試合になる。スピード、距離感、強度などの世界基準を知れる良い機会で、自身の肌身を持って感じることで目指す偏差値が高くなり、飛躍的に向上することがある。

 そのなかでも今季の成長が著しいMF田中碧に期待したい。昨年Jリーグデビューを果たした田中は、MF大島僚太、MF守田英正といった日本代表クラスがいるなかで、今季はリーグ戦12試合に出場。もちろんチームメートの怪我の影響もあるが、攻守にわたり質の高いプレーを見せていて、日本代表クラスの2人と比べてもさほど遜色はない。守備面においてはタックル成功率91.2パーセントと高い数字を残しており、攻撃面でも1試合あたりの平均敵陣パス数を42.1本として、7月18日現在でリーグ10位の数字をたたき出している。

 現在20歳の田中は、6月に行われたトゥーロン国際大会で準優勝したU-22日本代表にも選出されており、東京五輪のメンバーに名乗りを挙げている。もちろん本人はA代表も視野に入れていて、FC東京戦後にその道のりについて語った。

「同じチームにいる守田くんや僚太くんは、常にお手本にしています。そういう選手を越えないとA代表は見えてこないというのは分かっています。そういう意味では、このチームでそういう選手たちを越えて、スタメンを取れるぐらいの力をつけなければいけない」

「やるからには勝ちたいですし、負ける気はさらさらない」

 頂点を見つめる田中は、19日のチェルシー戦も自身の力を推し量る良い機会と捉えている。

「やるからには勝ちたいですし、負ける気はさらさらない。彼らに対してどれだけ戦えるか楽しみです。特に、中盤の選手は世界のトップレベルで、ワールドカップで優勝している選手など素晴らしい選手がたくさんいる。彼らに自分がどれだけできるのか試したいですし、彼らの良さを吸収したいなという思いもあります」

 チェルシーには昨年のロシア・ワールドカップ(W杯)で優勝したフランス代表MFエンゴロ・カンテのほか、準優勝メンバーのクロアチア代表MFマテオ・コバチッチ、パスの名手として知られるイタリア代表MFジョルジーニョなどがいて、世界でも屈指の中盤を構成するチームだ。また、それぞれに得意分野が異なり、違った特徴を持つ選手がそろっている。吸収できることも多いだろう。

 それでも田中は、そういった選手たちに負けていられないと感じているようだ。

「彼らと対等、もしくは対等以上にやらなければ将来的にも世界と戦えない。怖がらずに、真正面から全力でぶつかっていきたいと思います」

 若き才能が花開く瞬間。Jリーグワールドチャレンジはそういう試合になってほしいと願うし、選手たちも“気づき”を得るきっかけにしてほしい。対等以上のプレーで、負けず嫌いの相手の目の色が変わる瞬間が楽しみである。(川原宏樹 / Hiroki Kawahara)