前カブス・田澤純一【写真:田口有史】

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後半戦スタート直前に契約解除、現在は米国内でトレーニングと練習重ねる

 今季はカブス傘下3Aからメジャー昇格を目指していた田澤純一だが、後半戦を迎える直前の7月11日(日本時間12日)に契約解除となった。渡米11年目の今季はカブスとマイナー契約を結び、傘下3Aアイオワでは19試合(18回)に投げて1勝0敗1セーブ、防御率4.00の成績だった。カブスは6月上旬に8年連続30セーブ以上&通算336セーブを誇るクレイグ・キンブレルを獲得するなどブルペンが充実しており、田澤は新天地を求めることになった。

 現在は米国内で他球団のオファーを待ちながらトレーニングに励む右腕が、今季前半を振り返ると同時に現在の心境を語ってくれた。

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 Full-Countをご覧の皆さん、田澤純一です。ご存じの通り、今季は前半戦限りでカブスから契約解除となりました。現在は次の所属先が決まったという知らせを待ちながら、アメリカ国内でトレーニングと自主練習に励んでいます。

 昨シーズンに続く“クビ”です。5月中旬に3Aアイオワに合流した後は、しばらく無失点に抑えるピッチングができていましたが、その後で失点が続き、6月末頃からまた状態が上がってはいました。でも、たとえマイナーであっても甘い世界ではありません。結果が残せなければ契約を失う。その点は、もしかしたら年俸が低いマイナーの方がシビアかもしれません。もちろん残念な気持ちはありますが、僕が泣いても騒いでも現状は変わらない。代理人が次の契約先を見つけてくれると信じて、いつ声が掛かっても投げられるように、しっかり準備を進めるだけです。

 前半戦を感覚よく終えられたことは幸いでした。オフから続けているトレーニングや投球フォーム改善の取り組みは、徐々に、ではありますが、結果に表れてきました。オープン戦では、真っ直ぐの球速は平均89〜90マイル(約143〜145キロ)くらいでしたが、最近はコンスタントに92〜93マイル(約148〜150キロ)で投げられています。球速が戻りつつあるのは、投球フォームが安定し、しっかり腕が振れるようになったから。目指す方向は間違っていないと自信にもなりました。

契約は代理人に一任、いつ声が掛かってもいいように準備に励む日々

 アイオワには、昨季エンゼルスにいたフランシスコ・アルシアという控え捕手がいました。去年も僕の球を何度か受けてくれたことがあったので、「去年よりも今年はここがよくなっている」「今日のフォームは去年の悪いクセが出ていた」と、自分が試合に出ていなくても僕が登板すると率先してアドバイスをくれました。自分の感覚も大切ですが、客観的な目で見た意見も大切です。アルシアには感謝の気持ちでいっぱいです。

 もう1人、刺激を受けたのが、キャッチボールパートナーだったティム・コリンズです。ロイヤルズ時代にリリーフとして活躍した左腕で、2015年と2016年に合計2度もトミー・ジョン手術(側副靱帯再建手術)を受けた苦労人。以前のように球速は97マイル(約156キロ)に達しませんが、ボールにしっかりスピンが掛かっていて、今まで受けたことのない球でした。すごく質のいい球で、カーブもカットも変化がよく、これは打者だったら手こずるだろうな、と。僕はここ数年、結果的にいろいろな球団でプレーしていますが、こういった選手と出会えることをありがたく思います。

 契約は代理人に一任しているので、僕は引き続きトレーニングと練習に汗を流すだけです。前半戦はマウンド上で考え過ぎるという悪いクセも出てしまったので、次にどこかで投げるチャンスをもらえたら、考え方をシンプルにして思い切り投げ込みたいと思います。野球は本当に難しいです。何年やっても難しい。だからこそ、ボールが指から離れる瞬間まで、自分がコントロールできる部分は、しっかりと準備を重ねていこうと思います。少し孤独な練習になりますが、またメジャーの舞台で投げることを目指し、しっかりと歩み続けます。(田澤純一 / Junichi Tazawa)