将棋や囲碁、チェスなどのゲームで人間と熾烈な競争を繰り広げているAI。近年ではAIが人間を倒すことも珍しくなくなりました。そんななか、いま世界中で話題となっているのが、AIボットが人間のプロポーカー選手に圧勝したというニュースです。

ポーカーができるAIボットを開発したのは、FacebookのAI開発チームと、コンピューターポーカーの研究を16年間行ってきた米カーネギーメロン大学の研究者たちからなる共同研究チーム。「Pluribus」と呼ばれるこのAIボットは、ポーカーのなかで最も広く知られているテキサスホールデムで実験を行いました。そのなかでこのAIは、ワールドポーカーツアーでタイトルを手にしたことのあるプロのダレン・エリアス選手などを打ち負かしたんですね。Pluribusは、5人の人間と5000回も対戦し、圧勝したそうです。

 

さらにこの実験では、100万ドル(約1億円)以上を獲得したプロプレーヤー13人などを使って、「Pluribus1台対人間5人」の対戦を1万回以上行い、このゲームでもAIボットが勝利を収めました。参加したプロのポーカー選手たちには参加費として2000ドルが支払われており、ゲームのパフォーマンス次第でさらに追加の賞金も用意されていたため、彼らがAIボット相手に手を抜いたということもないでしょう。

 

相手の意表を突く

AIポーカーの開発は複雑化すると言われています。ポーカーは、ルール自体は決して難しいわけではありませんが、対戦相手との心理的なかけひきが重要なゲーム。また将棋や囲碁、チェスなど1対1のゲームと違い、複数のプレイヤーが参加するので、ポーカーはさらに複雑な戦術を立てていくことが求められます。

 

そんな複雑な条件のなかでもAIアルゴリズムはゲーム内容にあわせて戦略を立てて、見事に勝利。その戦略のなかには、驚くような作戦もあったそうです。例えば、「ドンクベット」というプレーは「間抜けな賭け」という意味を持つように、一般的には避けられがちですが、Pluribusはプロ選手よりも頻繁にこのドンクベットを行ったとのこと。「Pluribusの強さは、いろんな戦略を混ぜながら実行できることにある」とエリアス選手は言います。

このAIボットのポーカーの実験結果は学術誌Scienceに掲載され、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOも自身のFacebookで「おめでとう!」と投稿しています。今後はカジノの世界にもAIが進出するかもしれませんね。

 

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