スペイン人気作をリメイク『Grand Hotel』 豪華リゾートホテルを舞台にした「メロドラマ」

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米ABCで6月中旬から放送が始まっている『Grand Hotel(原題)』は、スペインの人気ドラマ『Gran Hotel(原題)』のリメイク。『デスパレートな妻たち』のガブリエル役で大ブレイクしたエヴァ・ロンゴリアが製作総指揮を務め、『デビアスなメイドたち』で強烈なキャラクターの一人、カルメン・ルナを演じたロゼリン・サンチェスが出演する注目の作品。ホテルビジネスの栄枯盛衰をコアとし、本筋以外にも恋模様やスキャンダル、そしてミステリーまでを盛り込んだ欲張りなシリーズだ。

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一流リゾートホテルに存亡の危機

太陽の日差しがさんさんと降り注ぐマイアミのビーチで、威容を誇る豪華なリゾートホテル。メンドーザ家が運営するこのリヴィエラ・グランド・ホテルは、辺り一帯に残る最後の独立系ホテルとして、大手との厳しい競争を耐え抜いてきた。カリスマ的なホテル経営者として知られる父・サンティアゴ(デミアン・ビチル)を筆頭に、彼の若きセカンドワイフ・ジジ(ロゼリン)やプレイボーイの息子・ジャヴィ(ブライアン・クレイグ)たちがホテル内外に出没。あるときはホテルスタッフとして、またあるときはプライベートの時間を利用して、賑わうビーチで活き活きとした毎日を楽しんでいる。

ところが、順調に見えたリゾート運営に思わぬ事態が勃発。実はこのところホテルの収支が芳しくなく、父・サンティアゴが家族に内緒でホテルを中国系デベロッパーに売却していたのだ。実の母との思い出が詰まったリゾートホテルの危機を知り、娘のアリシア(デニース・トンツ)は父に対し一通りの憤りをぶつける。彼女は取得したばかりのMBAの学位を生かしてビジネスを立て直そうと決意するが、はたして一家の命運は。膨れ上がる負債やスキャンダルの発覚など、リゾート商売の浮き沈みをユーモラスかつありありと描写する。

ホテルはゲストの知らぬ秘密でいっぱい

梅雨明けも間近に迫り、いよいよ本格的な夏を迎えるこの時期にビーチリゾートが舞台のドラマは打って付けだ。本作のようにスキャンダルにまみれたホテルが舞台とあれば、興味深さもひとしお。「シャンパンと秘密であふれかえったリゾートホテルほど、夏のドラマにぴったりの舞台はない」と米Varietyは述べる。真っ白な砂浜の美しいイメージとは裏腹に、厄介な事件がメンドーザ家に押し寄せる。妊娠の発覚や傍若無人な宿泊客との攻防など、メロドラマばりのアクシデントがリヴィエラ・グランド・ホテルのスタッフを翻弄する。

ホテルに立ちはだかる数々の難問はどれも予想外の珍事ばかり。リアリティ番組の展開にも近いと米CNNは感じたようだ。かつては波乱万丈のドラマの展開をなぞるかのように、「筋書きのない」(という建前の)リアリティ番組が製作されていた。現在ではその逆で、本作のようにリアリティ番組の性質を追求したTVドラマが作られるようになってきている、とCNNは指摘。キャラクターたちの山あり谷ありの人生をこっそりと覗き見るような、わかりやすい悦びを味わえる作品だ。

鍵はアリシアの手に

多様な登場人物が楽しい本作。ややプロットのまとまりに欠けるが、キャラクターが多いため致し方ないとVarietyはコメントする。それでも中核となる話の筋はしっかりとキープしており、しっかり者の娘、アリシアが物語の重要なけん引役を果たしている。経営学の知識を武器に、落ち目のホテルの再建に精を出す彼女。ホテル業の傍らプライベートでは、甘いマスクの新人ウエイター・ダニー(リンカーン・ユネス)と恋の駆け引きを楽しむ余裕もあるようだ。ダニーもアリシアへの興味はあるようだが、雇い主の娘という彼女の立場に躊躇を覚えている、とCNNは紹介。決して手を出すなよと同僚のウエイターにも警告されるが、渚で芽生えたロマンスをダニーは止めることができない。

こうした人間模様やリゾートビジネスの盛衰だけでも興味深いところに、人々の失踪と殺人疑惑というミステリーの要素も詰め込んだ欲張りな本作。『Grand Hotel』はABCで放送中だ。(海外ドラマNAVI)

Photo:『Grand Hotel』©ABC/Eric McCandless