NTT東日本が日本新薬に逆転勝利

写真拡大

8回に2死二、三塁から下川のタイムリーで同点、続く向山が勝ち越し適時打

 NTT東日本が劇的な逆転勝利で2-1で日本新薬を下し2回戦進出を決めた。

 NTT東日本は7回まで日本新薬の継投の前に2安打に封じられていたが、8回に絶好機が訪れた。1死から7番・保坂が四球で出塁すると、続く代打・伊藤の左前安打の打球を日本新薬の左翼・田中が痛恨のファンブル。2死二、三塁から1番・下川が二遊間を破る中安打を放ち同点に追いつくと、2番・向山が左前安打を放ち逆転に成功した。

 日本新薬は直後の8回、1死から4番・中がヒットで出塁し、5番・黒川も左前のポテンヒットで続いたが、中がオーバーランで二塁に戻り切れずタッチアウトに。さらに黒川に代わって出場した一走・福田が盗塁失敗とミスが重なり好機を潰した。

 好守にお祭り男ぶりを発揮したのが「2番・中堅」でスタメン出場した新人の向山基生外野手だ。「(先発の)大竹さんが頑張っている中、なかなか点を取ることができなかった。1球1球集中して臨めました」と7回には左中間を破ろうかという強烈な打球に対してダイビングキャッチを見せ、9回にもセンター前方の打球を間一髪で捕球する好守でチームを盛り立てた。

 8回には日本新薬の3番手・岩本から勝ち越しタイムリーを放つなど、チームの逆転勝利に大きく貢献した。向山は「打ったのはフォークです。速いまっすぐに合わせて、反応で打ちました」と汗をぬぐった。

 かつて社会人野球でプレーした父を持つ向山は、現在でも父がプレーする様子を収めたビデオを大切に保管し、見返すこともあるという。

「色んな人から“いい選手だった”と言われます」と胸を張る。小2から野球を始め、高校卒業までは父とマンツーマンで練習をしてきたと言う向山。「バッティングの基本は全て父を見てきたので、似ているかもしれませんね」と笑顔を見せた。

 華やかな舞台で見せた活躍の裏で、悔しい思いも経験してきた。法政大学では大学日本代表に選出され、キャプテンを務めるなどチームの中心選手として活躍したが指名漏れを味わった。「なんとしてもプロに行きたいという気持ちはある。でもチームあっての自分。今はチームが一つでも勝てるように」と言葉に力を込めた。父が引退した時と同じ背番号「31」を背負った向山が、チームを栄冠に導く。(安藤かなみ / Kanami Ando)