【子育ての助けにも】みんなでごはんを食べよう!お悩みママが「こども食堂」に行くべき理由

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「こども食堂」とは、地域のつながりづくりと子どもの貧困対策などを目的とした、地域の人々が無料または安価で食事を提供する場所。そして、各地域に広がるこども食堂を支援するために設立されたのが、NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」です。むすびえはどんな社会を実現するために、こども食堂をサポートしているのでしょうか。自身も一児の母である、むすびえマネージャーの三島理恵さんにお話を伺いました。

「知っているけど、行ったことはない」方がまだまだ多い


「全国こども食堂支援センター・むすびえ」は「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる」というビジョンのもと活動をしています。

こども食堂が全国どこにでもあって、みんなが安心して行ける場所になること。こども食堂を通じて、多くの人たちが未来をつくる社会活動に参加できるきっかけを生み出していくことを目指しています。

具体的な活動内容は、地域のこども食堂ネットワーク団体を支援することや、こども食堂を支援したいと考えている方々と現場とをつなぐこと。さまざまな調査・研究をしてこども食堂の現状を明らかにし、今後の施策につなげていくことです。

以前、朝日小学生新聞さんにご協力いただいて、公立小学校に新聞が無料配布される機会に、小学生を対象にこども食堂についてのアンケートを取っていただいたことがあります。その結果、こども食堂を知っている人は5割以上、行ってみたい人は6割以上。でも、実際に行ったことのある人は1割未満でした。

みなさん、こども食堂を良いものだと思っているけれど、足を運ぶハードルはまだまだ高いんです。その理由はどうしてだろうと考えたとき、私もそうだったように、周りにいる大人たちが、こども食堂のことをよくわからないから「行こう」「行っておいで」と言えないんじゃないかと。だから今後は、こども食堂のことをより多くの方々に知ってもらいたいと思っています。


こんなに賑やかな、楽しいところなんだ


私が最初に行ったこども食堂は、調布市の覚證寺で開催されているものでした。私は普段、広島で生活していますが、子どもが夏休みだったので東京に来ていて、一緒に足を運びました。

かき氷をつくってもらえて、しかもシロップもかけ放題だったんです。自宅だと「かけすぎ!」と言われるけど、ここではそんなことを言われない。それから、大学生ボランティアたちが子どもと一緒に遊んでくれました。我が家は一人っ子なので、お兄ちゃんに遊んでもらえたこともすごく楽しかったみたいです。実際に行ってみたことで、私も「こんなに賑やかな、楽しいところなんだ」と、良い意味でイメージが変わりました。

それぞれのこども食堂によっても規模や開催頻度、雰囲気などが違いますから、自分たちに合ったところを見つけてみてください。平日にやっているところもあれば、土日にやっているところもあります。少人数なこともあれば、大人数なことも。

先日、「食べる・遊ぶ・笑う こども食堂」という企画で伺った山口県宇部市のみんにゃ食堂には、439人が来られました。会場になっている西法寺には、夕方の5時から開催なのに4時半くらいから、子どもから地域のおじいちゃん、おばあちゃんまで並んでいました。月2回の開催が、楽しみなんだそうです。

その光景は、まるで地域のお祭りをやっているみたいでした。




みんにゃ食堂での様子

また、東京都・恵比寿で開催されている「恵比寿じもと食堂」は、畑があって、子どもとボランティアが野菜を採りに行ったり、集まった子ども同士が宿題を見合ったり、大家族的な感じでした。ちなみに採ったブロッコリーがスープの具材になっていました。

そういう光景を見ると、子ども会の現代版のようだと思えてきます。

全国のこども食堂は、「こども食堂ネットワーク」から探せます。ぜひ、お近くの食堂を調べてみてください。こども食堂マップを作成している自治体等もあります。

もっと気軽に、こども食堂に足を運んでほしい


我が家は共働きなので、私や夫が仕事でバタバタしていると、どうしても「孤食」になりがちです。私が家にいても、子どもがご飯を食べている間に、洗濯物をたたんだり、他の家事をしてしまうと1人でご飯を食べさせることになります。これは今、他のご家庭でも起きていることなのではないかと思います。核家族化していて、共働きが増えていて、地域との結びつきも弱くなり、同時に子育てもお母さん一人に偏りがちで、忙しい。

だから、こども食堂のような場が増えていくことは、みんなにとって良い影響があります。誰かが子どもを見てくれているので、普段は子育てで大変なお母さんも安心して話ができますし、子どもが少々騒いでも気になりません。そういう場に行って誰かと話をする中で、弱音を吐けたり、自分一人じゃないんだと思えることで、頑張ろうと思えたり、明日のおかずを一品増やす気持ちにもなるかもしれません。

こども食堂は、子どものためでもあるけど、子育て中の人のためでもあるんです。

私も一児の母なので、子育てをサポートしてくれる場所、ちょっと手抜きを許してくれる(笑)気軽な地域の場がもっとたくさんあってほしいと考えています。「こども食堂は貧しい家庭の子が行くところ」と思っている方もいるかもしれませんが、実際に足を運んでみると、そうではないことがわかるはず。私がそうだったように、持っているイメージが大きく変わるはずです。

また、クックパッドニュースでは日本各地のこども食堂を紹介する連載企画『全国こども食堂探検』がスタートします。全国のこども食堂の運営者の方の思いや、こども食堂の様子、そこで振る舞われている料理のレシピなどをご紹介する連載です。その土地ならではの郷土料理や食事に対するこだわりは、きっと普段の料理にも役立つ知恵になると思います。



全国こども食堂探検

子どもや親、地域の人たちに安価または無料で食事を提供する「こども食堂」。子どもの貧困対策としてだけでなく、地域交流の場として今注目を集めている、全国のこども食堂を紹介!

私たちは将来的に、1つの小学校区に対してこども食堂が1つある状態を実現したいと考えています。もっともっと、こども食堂が一般的なものになっていけば嬉しいですね。

(TEXT:中薗昴)

三島理恵(みしま・りえ)

CSR/NPOコンサルタント

NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ マネージャー


大学卒業後、国際協力機構に勤務。2009年6月から設立スタッフとして日本ファンドレイジング協会に入職し、事業の立ち上げ、広報全般を担うコミュニケーション・ディレクターとして従事。また、企業、NPO、行政、国際機関などと協働で行っている寄付キャンペーン「寄付月間-Giving December-」の実施にも尽力。現在は、NPOや病院等のコンサルタントとして、動物殺処分ゼロ、災害支援、スポーツ選手による社会貢献活動などの事業に携わっている。

NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ


「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる。」のビジョンのもと、2018年12月に設立。地域ネットワーク支援事業、企業・団体との協働事業、調査・研究事業を軸とした事業を通じてビジョンの実現へ向けて活動している。

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