個人が投資や資産運用に関する「情報」をどのように得ているか。「老後2000万円問題」は図らずも、個人の情報の取り方に課題があることを露呈しました。

 ポイントは大きく2つあると思われます。ひとつは、報道情報の出どころ(大元)である「一次情報」にまで当たる人が少ないようだったこと。もうひとつは、メディアによる情報の切り取り方に誤解を生みやすいものがあったことです。

 今回は、投資や資産運用に関する情報の集め方について考えてみます。

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情報価値は高いが見つけにくい一次情報

 そもそも、「一次情報」とは何でしょうか。一般には「ある個人や組織が直接的に体験から得た情報や考察、自らおこなった調査や実験の結果」などとされています。簡単に言えば、個人や組織によるオリジナルな情報、ということができるでしょう。

「老後2000万円問題」でいえば、金融庁の報告書が一次情報です。そして一次情報を多くの人にわかるように説明したり、意味を解説したりしたのが「二次情報」です。つまり報告書をもとに報道された記事が二次情報ということになります。

 一次情報と二次情報、それぞれに意味があります。一次情報は情報の独自性が高く、信頼性が高いメリットがあります。一方で、細かいデータが羅列されていたりして、専門家には理解できても、一般個人ではそれを十分に読み解けないことが珍しくありません。また、一次情報は二次情報に比べ見つけつくい傾向もあります。

 二次情報は、一次情報よりもわかりやすいというメリットがあります。ただ、説明の簡略化のために正確さを多少犠牲にしたり、説明する人や組織の主観が入ったりするので、正しい情報を受け取れなかったり、誤解してしまったりする可能性があります。

個人サイトやSNSをどう利用するか

 情報に接したときにはそれが一次情報なのか二次情報なのかを判別して、疑問に思ったり、おかしいと感じたりしたら、必ず一次情報にあたる、という習慣をつけることが大事でしょう。自分の考えや意見に沿った情報に接すると、「やっぱりそうなんだ!」とすぐに判断しがちです。しかし、ここでひと呼吸おいてそれが一次情報なのかを確かめ、そうでなければ一次情報を探してみることをおすすめします。簡単に見つからないこともありますが。

 筆者の場合、匿名の個人サイトとSNSはトレンドや意見の流れを見るために読むことはありますが、それをもとに論理を構築することはありません。一次情報ではないことが多く、信頼度もはっきりしないためです。記名の個人サイトでも、過去にさかのぼってその人の事実の見方や考え方を確認したうえで、参考にするかどうかを決めます。

 なかなか一次情報が入手できない場合や、一次情報だとしてもその情報元が信用に値するかどうかを判断しかねる場合もあります。その情報は一応頭に留めるものの参考にはしません。その情報に固執しないで捨ててしまう思い切り。これが、短時間で正しいと思われる情報にアクセスするために欠かせない姿勢のような気がします。

金融庁と厚労省、東証をチェック

 では、投資や資産運用に関する一次情報はどこにあるのでしょうか。筆者自身がよく使う一般的な情報源をご紹介します。まずは官庁などの公的機関です。

金融庁(https://www.fsa.go.jp/)
 官庁のウェブサイトを個人が見ても・・・と思うかもしれませんが、さにあらず。一般の人が読んでもわかるコンテンツがたくさん用意されています。もちろん、個人投資家向けの一次情報も豊富です。なかでも「NISA特設ウェブサイト」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/)は、投資がはじめての人でもわかるように、論を急がずゆったりと解説しています。

厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/)
 iDeCo(個人型確定拠出年金)の一次情報はここが基本になります。なぜ厚労省が?と思うかもしれませんが、年金は厚労省が管轄です。初心者向けパンフレットもPDFで用意されています。NISAは金融庁でiDeCoは厚労省。官庁間で情報が一元化されていると便利なのですが・・・。

東京証券取引所(日本取引所グループ:https://www.jpx.co.jp/)
 東証(東京証券取引所)は、公共性が非常に高い一般事業法人といえます。ETF(上場投資信託)とJリート(不動産投資信託)は上場しているので、それらの一次情報は東証にまとめてあります。それぞれの適宜開示情報が閲覧できますが、個別株式と同列に扱っているので検索が必要です。市場全体の月次レポートもあります。

「東証マネ部」という個人投資家向けオウンドメディアが用意されていますが、情報提供元がさまざま(運用会社や金融メディアなど)なので一次情報としては使いづらい面があります。

業界団体でトレンドや調査データを確認

 次に関連の業界団体です。情報開示が進んでいて、一般個人でもわかりやすく、必要な情報にアクセスしやすくなっています。私は市場全体のトレンドや調査データを確認したいときなどに閲覧しています。

一般社団法人 投資信託協会(https://www.toushin.or.jp/)
 資産運用会社(投信運用会社と投資顧問会社)による業界団体です。個別投信や資産運用業界の一次情報を見たい場合に役立ちます。大分類やランキングから投信を検索できる「投信総合検索ライブラリー」(http://tskl.toushin.or.jp/FdsWeb/view/FDST000000.seam)はなかなかの充実ぶりです。

公益財団法人 生命保険文化センター(https://www.jili.or.jp/)
 生命保険の業界団体で、「公正・中立な立場で生活設計と生命保険に関する情報を提供する」としています。継続的におこなっている調査・報告が有用で、生命保険に限らず「福利厚生」「生活設計」「老後生活」などライフプランとお金に関する調査報告が、一次情報としてよくメディアに利用されています。

知るぽると(金融広報中央委員会:https://www.shiruporuto.jp/public/)
 金融広報中央委員会は、都道府県の金融広報委員会と政府、日本銀行、地方公共団体、民間団体などと一緒に、中立・公正な立場から暮らしに身近な金融に関する広報活動をおこなっています。そのウェブサイト名称が「知るぽると」です。事務局は日銀の情報サービス局にあり、提供される情報は事実上の日銀発と考えていいでしょう。最新情報というよりは、子どもから大人まで金融リテラシー向上をねらったコンテンツが多めです。

投信情報は評価会社と運用会社で

 個別投信の仕組みや数値など、細かい部分の一次情報なら専門の評価会社が便利です。同じ種類の他の投信との比較ができるからです。もちろん、当該投信の運用会社のウェブサイトも有用です。

モーニングスター(https://www.morningstar.co.jp/)
 米国Morningstar社とソフトバンクの合弁で1998年に設立された投信評価会社で、現在はSBIグループです。一般個人向けに情報提供をおこなってきた歴史の長さとブランド力によって、投信評価のスタンダードのひとつになっています。一般個人向けに提供される豊富な投信情報と詳細な検索システムは、一次情報の入手・確認に便利です。

三菱アセット・ブレインズ(https://www.mab.jp/)
 1998年設立の三菱UFJフィナンシャル・グループの投信評価会社です。金融機関向けの評価情報提供が中心ですが、このところメディア記事のニュースソースとして使われる頻度が増えています。私はウェブサイトに掲載される各種レポートなどを報道記事の一次情報チェックのために活用しています。

各投信運用会社
 投信の商品情報を確認するには、当該投信の運用会社が最適です。新しい種類や仕組みの投信なら、なおさらそうです。実際に、販売会社のウェブサイトに掲載されている投信情報のほとんどは、運用会社から提供されたもの。とくにメディアで話題になった投信は、運用会社のウェブサイトで確認する習慣をつけたいところです。

筆者:小島 淳