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日ハムは2019年7月16日、ヤフオクドームでソフトバンクと対戦し3−2で勝利した。同点で迎えた9回、2死満塁の場面で宇佐見真吾捕手(26)が四球を選び押し出し。その裏の守備では秋吉亮投手(30)がソフトバンク打線をきっちり3人で抑え接戦をものにした。

首位ソフトバンクとの直接対決で2連勝し、2位の座を死守。ゲーム差を「5」まで縮め、後半戦の巻き返しに弾みを付けた。

9回に「動いた」

初回、先発・杉浦稔大投手(27)の立ち上がりは不安定なものだった。2番・牧原大成内野手(26)、3番ジュリスベル・グラシアル内野手(33)に連続アーチを許し、いきなりピンチを招く。5番・松田宣浩内野手(36)にはレフト前に運ばれ、初回3安打2失点の苦しい立ち上がりだった。

序盤の悪い流れを断ち切ったのが、頼れる2番・大田泰示外野手(29)の一発だった。2点ビハインドの4回、先頭の大田はインコースに入った128キロのスライダーをレフトスタンド中段に叩き込み1点差とした。続く3番・近藤健介外野手(25)が失策がらみで出塁しチャンスを広げ、田中賢介内野手(38)の犠牲フライで同点とした。

両チーム得点のないまま迎えた9回、栗山英樹監督(58)が動いた。先頭の中田翔内野手(30)が四球で出塁すると、中島卓也内野手(28)を代走に送り込んだ。延長戦を考慮すれば中田に代走を出すのは一種のカケになるが、指揮官は勝負に出た。結果、甲斐野央投手(22)の乱調もあったが、四球押し出しにより1点を獲得。これが決勝点となってチームに勝利を呼び込んだ。

一昨年まで日ハムの2軍監督を務めた野球解説者の田中幸雄氏(51)は、この日のゲームで栗山監督の勝利にかける執念を見たという。

「あの場面での代走は栗山監督の強い思いが伝わってきました」

「この日の一番のポイントは9回の攻撃だと思います。中田選手がフォアボールで出塁し、あの場面での代走は栗山監督の強い思いが伝わってきました。延長戦のことを考えれば、あの決断は難しいでしょう。それでも栗山監督は勝利を求めて勝負に出ました。勝ちにこだわる栗山監督の思いは、グランドの選手にも十分に伝わっていると思います」

パ・リーグは7月16日現在、ソフトバンクが頭一つ抜け出ているが、2位以下は団子状態で4位・楽天まで5割をキープしている。最下位オリックスとソフトバンクのゲーム差は「10」で、セ・リーグ首位の巨人と2位DeNAの10.5ゲーム差よりも開いておらず、すべてのチームにチャンスが残っている状態だ。

「パ・リーグは2位以下、混戦状態にあり、どのチームが上に上がってきてもおかしくはありません。ファイターズにとってこの2連勝は非常に大きい。大田選手もしっかりと2番の役割を果たして機能しています。少し心配なのが清宮選手です。清宮選手に元気が戻ればチームも勢い付きますし、後半戦はトーナメント戦のつもりで勝ちに行ってほしいです」(田中氏)