Amazonのプライムデー(Prime Day)が拡大し続けるにつれて、パブリッシャーはもっと多くのエネルギーをそれに注ぎはじめている(プライムデーの期間は、一昨年の30時間、昨年の36時間に引き続き、今年は48時間に増えた)。

ベライゾンメディアグループ(Verizon Media Group)は2018年、AOLとハフポスト(HuffPost)の2媒体がプライムデーに参加。2700万人の読者をショッピングに駆り立てた。それを踏まえ今年は、プライムデー関連コンテンツを掲載する媒体を3倍以上に増やしている。同社広報によると、先述の2媒体に加え、テッククランチ(TechCrunch)、ヤフーファイナンス(Yahoo Finance)、ヤフーライフスタイル(Yahoo Lifestyle)、ヤフースポーツ(Yahoo Sports)、エンガジェット(Engadget)が参戦。それぞれ独自のコンテンツを制作したり、複数のタイトルにコンテンツを配信したりしているという。

全員参加の重要イベント



ベライゾンに限らず、複数のタイトルのスタッフが24時間体制で、プライムデーに関する情報を取り扱っている。だが、プライムデーの期間が長くなるにつれて、すべてのパブリッシャーにとって、共通の戦術というものがなくなってきた。たとえば、CBSインタラクティブ(CBS Interactive)のCNETは、プレイムデーを全員が参加するべきシチュエーションと捉え、グローバル編集業務の大部分を占める、50人のスタッフを投入。そこには、ニューヨーク、カルフォルニア、オーストラリア、イギリスの支局のスタッフも含まれており、日曜日(15日)の夜から総出でプライムデーの情報を更新している。

「もし編集サイドに関わっているのであれば、プライムデーに関わらない手はない」と、CNETのゼネラルマネージャーを務める、マーク・ラーキン氏は語る。

シミラーウェブ(SimilarWeb)によると、CNETは昨年、Amazonがプライムデーの期間中に受け取ったデスクトップ参照トラフィックにおいて、3番目に高いパブリッシャーとなった。今年はこの実績を上回ることを目指しており、より多くのコンテンツの共有し、それらのストーリーをより頻繁に更新している。ラーキン氏によると、CNETの内部目標は、プライムデー関連記事の総数を30%増やすことだ。CNETは、15分ごとに最新情報を更新し、検索トラフィックをできるだけ獲得することを計画している。ふたたびシミラーウェブの分析によると、CNETは昨年、「プライムデー」の検索キーワードにおいて、Amazonに勝っていたという。

プレイムデーを超えて



パブリッシャーはプライムデーを通して、アフィリエイト収益の大幅増加という期待を超え、ほかの戦略的な取り組みを進めることができるようになった。多くの場合、それにはAmazonの組織のさまざまな部分と密接に協力することが含まれる。たとえば、ハースト(Hearst)は今年の初頭に、Amazonと協力して、「ケト・フォー・カーブ・ラバーズ(Keto for Carb Lovers)」というダイエット関連書籍を作成した。この本は、ハーストにおいて成長著しい、カスタマー・プロダクツ・スタジオの手によるものだ。同社はこれを、プライムデーを通して、直接オーディエンスに販売している。

ニューヨークマガジン(New York Magazine)のコマース専門サイトであるストラテジスト(The Strategist)では、読者に対して、プライムデーにおけるいくつかの限定セールを提供する。それには、数カ月前にニューヨークの編集記事がもとで人気となったコートも含まれているという。

プレイムデーが終了しても、パブリッシャーはプライムデーから得たアフィリエイトコンバージョンデータを利用して、将来の戦略を見通すことができる。多かれ少なかれ積極的に消費者の動向を読んで、紹介すべきプロダクトをカバーできるのだ。

そのデータは、必ずしもAmazonの売上に限定されるわけではない。ベライゾン・メディア・グループのブランドははじめて、Amazon以外の小売業者による販売に焦点を当てることになる。彼らはAmazonが巻き起こすショッピングフィーバーを利用しようと懸命だ。アドビ(Adobe)の試算によると、Amazon以外の小売業者は、2019年にプライムデー期間における売上が70%以上増加するという。

Max Willens(原文 / 訳:長田真)