【世界水泳】鬼門の自由形短距離で「日本の歴史を変えたい」― イケメンスイマー中村克の決意
「世界水泳カウントダウン連載」競泳開幕まであと5日―男子100メートル自由形中村克
五輪を超える規模で2年に1度行われる水泳の“世界一決定戦”、世界水泳(テレビ朝日系で独占中継)が12日に開幕した。なかでも、注目を集めるのは競泳だ。金メダルを獲得すれば、1年後の東京五輪出場が内定する今大会。「THE ANSWER」は競泳開幕の30日前からカウントダウン連載を行い、出場25選手のインタビューに加え、特別企画を織り交ぜながら大会を盛り上げる。開幕まであと5日の第26回は、男子100メートル自由形の中村克(イトマン東進)が登場。イケメンスイマーは「日本の自由形の歴史を変えたい」と意気込む。
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端正な顔に強い決意が覗く。世界水泳への意気込みをしたためる色紙に「私は世界水泳で救世主になる!」と力強くペンを走らせた。
「今まで自由形の短距離はずっと弱い弱いと言われ続けてきた。僕がしっかり決勝で結果を残して、日本の自由形のイメージを変えて、日本の自由形の短距離を救いたいという思いです」
2016年のリオ五輪で、日本人として初めて100メートル自由形で47秒台をマークした中村には、スプリンターとしてけん引してきたプライドがある。それだけに今季は納得できないレースが続いている。4月の日本選手権では5連覇を飾るも、派遣標準記録にはわずかに及ばなかった。50メートルでは日本新を出した塩浦慎理らに後れを取り、まさかの4位に終わった。
「直前のグアム合宿でもかなり順調に調整できていた。今までの中でも1番いい出来の練習ができていたんですけど、試合に向けての調整っていうところが上手くいかなかった。どちら(50、100メートル)の記録もかなり遅かったので、びっくりした部分がありました。特に50メートルはちょっと…、笑いが出てきちゃうくらいでした」
それでも悲観することばかりではない。ライバル塩浦の泳ぎからは刺激も受けた。「すごい記録で泳いだことは、僕にもかなりいい影響与えてくれました」とうなずき、さらにこう続けた。
「日本の自由形の短距離はかなり盛り上がっているからこそ、より気を引き締めてやっていかなきゃいけない。日本記録を塗り替えられましたけど、やっぱりそれがあったからこそ、自分が今後もっと頑張っていきたいなって思えたので、良かったんじゃないかと思っています」
日本の自由形短距離のレベルが着実に上がっていることを、ポジティブに受け止め、自身の糧ともしている。
リレーではメダル獲得が射程圏「今年は僕らがしっかり引っ張って」
個人種目ではライバルの存在に闘志を燃やす中で、リレーとなれば一転頼もしいチームメートとなる。昨年のパンパシ水泳で銅メダルを獲得した、400メートルリレーでは塩浦、松元克央、難波暉とともに再びの表彰台を目指す。
「リレーへの思い入れはもちろんあります。去年、トータルの記録が3分12秒台(日本新の3分12秒54)になって、11秒台が出せれば十分にメダルを狙える記録。その部分は意識してやっていきたいと思いますね」
めきめきと力をつけている松元、初代表の難波という若い2人に対して示したいものがある。
「僕は慎理さんとずっと一緒にやってきていますし、だからこそ僕と慎理さんがきっちりとやりたい。去年はちょっと僕らは記録があまりよくなくて、後輩2人がすごい頑張ってくれた。今年は僕ら2人がしっかり引っ張って、前半で僕らがいい位置につけるように頑張りたいと思います」
個人種目で2種目、リレーで3種目に出場する中村。その雄姿を見せたい人がいる。水泳を始めたきっかけは母の交通事故だった。当時ライフセーバーの資格取得を目指していた母がその目標を断念したのを目の当たりにし「代わりに水泳をやる!」と宣言。小学5年からスイミングスクールに通い始め、今がある。
「家族はみんな僕が泳いでくれているのをすごい楽しみにしてくれている。やっぱり僕がどんどん記録を出すことによって喜んでくれる。母もそうですけど、家族みんなを喜ばせたいなって思っています」
日本人には鬼門とも言われる競泳の花形種目で世界に挑む中村。世界一決戦で見せる魂の泳ぎに注目だ。
(明日17日の第27回は水沼尚輝が登場)
◆世界水泳、テレビ朝日系で連日中継 21日に開幕する競泳は、決勝をテレビ朝日系地上波、AbemaTVで最終日まで8夜連続放送。予選はBS朝日、AbemaTVで放送する。(THE ANSWER編集部)