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アルバイトを複数掛け持ちしているのですが、交通費の請求をどうしたら良いでしょうかーー。そんな質問が弁護士ドットコムに寄せられました。

アルバイトの交通費だと、自宅や学校から職場までの金額がまとめて支払われることが多いと思います。しかし、複数掛け持ちだと、実際の移動にはそんなにお金がかからない場合があります。曜日によってルートが違うということもあるでしょう。

企業としても事務処理のわずらわしさから、当日のルートにこだわらない運用がなされていることがあります。

「すべての職場から交通費をもらった場合、実際の交通費以上を受け取ることになりますが、何かの法律違反になりませんか」(相談者)

森田梨沙弁護士に聞きました。

●交通費、あくまで会社の裁量

ーー交通費の法的な位置づけってどうなっているんでしょうか?

「前提として、交通費の支給は、法律で会社に義務づけられているものではなく、あくまで会社の裁量で自由に決めることが出来るものです。

もっとも、多くの会社では、就業規則や賃金規程の中に、通勤手当の定めがあり、それに基づいて交通費が支給されていることが多いのが実態でしょう。

この場合に、どのような基準に基づいていくら支給するか、というのもまた会社の裁量によるところになります。

一般的には、通勤手当に関する定めは『通勤に要する実費に相当する額』とか『本人の申請に基づき会社が認定した通勤経路における費用』といった内容になっていることが多いと思われます」

●返還求められるリスクも、相談が大事

ーー「会社の裁量」ということですが、今回のようなケースではもらいすぎるとマズいのでしょうか?

「ご相談のようなケースについては、あくまで会社がどの範囲を実費として認定するか、というところにかかってくると思いますので、まずは会社にありのままを話して相談してみるのが良いと思います。

仮に会社に事情を話さず、家から職場までの交通費全額に相当する通勤手当を受給していた場合、後から否定されて返還を求められるリスクも0ではありませんし、会社の信頼を失うことにもなりかねません。

雇用関係は信頼が基礎ですので、今回のようなケースでは、正直に話して会社の判断を仰ぐのが正しい対応と考えます」

ーー実費が出るのであれば、悩んで自己判断してしまうより相談した方が良いということですね。

【取材協力弁護士】
森田 梨沙(もりた・りさ)弁護士
中小企業法務、労働案件、一般民事(交通事故、不動産、離婚事件他)など幅広く手掛ける。事案の早期解決及び予防法務の観点から、依頼者と密なコミュニケーションをとることを常に心がけている。趣味はゴルフと漫画。
事務所名:共進総合法律事務所
事務所URL:http://www.kyoshin-law.com/index.html