36歳の美人秘書に、東大卒の彼氏との出会いから破局までを聞いた

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 アラフォーにもなると、男女ともに様々な「過去」を抱えているものだ。その過去は、婚活にどう影響するのだろう。あなたに許せない過去はありますか? 婚活女子たちの分岐点をレポートするシリーズ。

【写真】「キャバクラで働く私は努力していると思った」

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◆「高学歴の人と結婚したい」の裏に、学歴コンプレックス

 リサさんはIT系企業で秘書として働く36歳。フリーアナウンサーの宇垣美里に似た美女だ。アラフォーに突入し、結婚に焦っているというものの、目下、婚活は休憩中だという。理由は、最近の失恋で、「ちょっと男性不信、いえ、人間不信になっているから……」と目を潤ませる。失恋の経緯を聞いた。

 学生時代からモテてきたらしいリサさんだが、若い頃から、恋愛と結婚は別、と考えてきたという。

「恋愛は楽しければいいのですが、結婚には明確な理想があるんです。私は学歴コンプレックスがあるので、結婚は、絶対に高学歴な人としたいと思ってきました。で、仕事も、年収以上に、会社名で選びたかった。ブランド志向なんですね」

 リサさんは都内の有名女子大を卒業している。だから、学歴コンプレックスという言葉が出てきたときは意外な印象を受けたが、本来は別の大学を志望していたようだ。

「浪人する余裕がうちにはなかったので、世間体のいい女子大に行きました。でも、もっといい大学に行きたかったという気持ちはぬぐえなくて、結婚相手に求めるようになったんです」

 一方、仕事でも結果を出したいとガツガツやってきた。2度の転職を経て、現在の会社に辿り着いている。

「秘書に憧れていました。やっぱり、女らしさが発揮できる仕事だと思うんですね。結婚して、子供も産んで、仕事でもステップアップしたい。それが今の目標です。いくつになっても、女としてキラキラしていたいんですよ。これまでもそうやって生きてきましたから」

 キラキラしたい──そのためにはファッションも美容も手を抜けず、お金がない学生時代、リサさんはキャバクラで働いていた。その水商売の過去が、今回の失恋につながるとは、もちろんその時は知る由もなかった。

◆見た目は派手だけど、尽くすタイプ

 理想の相手とは会えないまま35歳を目前にしていた頃、運命の出会いが訪れた。きっかけは、上司に付いて出席した、とある会合だった。霞が関で行われたその会合の後、懇親会が行われ、そこでリサさんは2歳年下の和也(かずや)さんと親しくなった。たまたま家が近く、互いに旅行好きで、意気投合した。その時点で、和也さんが公務員であること、そして東大出身であることをリサさんは聞き出していた。

「条件はクリアしているので、あとは人柄だけ、って思いました(笑)。で、早速、二人で飲みに行くことにしたんです。こういうとき、私は自分から誘います」

 和也さんは東京生まれ東京育ち。自身では「普通の家庭に育った」というが、リサさんから見たら、十分にお坊ちゃんだった。恋人がいた時期もあるが、男友達と遊ぶのも、一人旅も好き、何よりこれまでは仕事が忙しく、あっという間に30歳を過ぎ、そろそろ結婚して家庭を持ちたいと考えている時期だった。

「タイミングがよかったんです。彼みたいな人に20代で出会ったら、なかなか結婚してくれないとイライラして、別れることになっていたと思う。そういう人、これまでに何人もいましたから」

 デートを重ねるようになっても、自分のペースを崩したくない和也さんの邪魔にならないよう、常にタイミングを見計らって連絡を取るようにしていた。

「重いと思われたらおしまいだと思って。彼の友達とも仲良くして外堀を埋めつつ、ファッションもコンサバ好きな彼に合わせ、彼の好きな本を読んで会話が合うようにと……、私、見た目は派手に見られますが、すごく尽くすタイプなんですよ」

 努力の甲斐あってか、二人は付き合い始める。自立している女性が好きという和也さんの期待に添うよう、リサさんは仕事にも一層力を入れた。結婚を視野に収め、何もかもが充実していた。しかし、肩に力が入りすぎて、見えなくなっていたものがあったのかもしれないと、今になって振り返る。

◆水商売の過去は、僕の家族も嫌がると思う

 見えなくなっていたものの一つが、リサさんの過去の男性関係をかなり気にする、和也さんの性格だった。それがあらわになる事件が起きた。

 金曜の夜だった。リサさんは和也さんとレストランで食事をし、もう一杯飲もうと入ったバーで、声をかけられた。

「リサちゃん! すごく久しぶりだなあ。元気? ますます美人になったねえ」

 声の主を見て、リサさんは固まった。「どういう知り合い?」と和也さんに聞かれたとき、いつもならできる気の利いた返事ができず、いったんトイレに駆け込んだ。冷静になって、「転職する前の会社で知り合った人」とごまかしても、「本当? かなり親密そうだけど……僕、過去は気になるのできちんと聞きたい」と、詰めてくる。

 結婚する相手なのだ、ここは正直に答えようと腹をくくった。

「昔働いていたお店のお客さんだと言いました。キャバクラで働いていたのは、もう10年以上も昔のことで、彼には言ってなかったけど、別に隠すつもりもなかったと。私の女子大はお金持ちの子が多かったけど、うちはそうではない。私は自分で欲しいものを買うために、アルバイトしていたのだと冷静に説明したのです」

 和也さんは明らかに不機嫌になったが、その後はいつものように二人で和也さんの家に泊まり、その話は済んだものだと思っていた。

 ところが、一週間後、和也さんから電話で別れたいと告げられた。驚いて理由を訊ねると、「水商売が気になる」と言われ、さらに驚いた。会って話を聞いたあと、リサさんの胸に去来したのは後悔か、失望か、怒りか。

「実は、バーで会った人とは、一時期、付き合っていたんです。当時私は20歳で、彼は40歳くらいの既婚者でした。今でいうパパ活ですね。海外旅行にも行きたかったし、美味しいものも食べたかったから、キャバクラだけではお金が足りなくて。会社を経営している彼の話は面白くて、人としても嫌いではなかった。就職相談にものってもらいました。で、そういう昔話を、彼がマスターに話しているのを、私がトイレに行っている間に和也さんが聞いてしまったようなんです」

 とはいえ昔の話ではないか、と、リサさんは納得がいかなかった。過去の恋人がいてもおかしくない年だし、誰にだって、一つや二つ、若気の至りはあるだろうと。しかし和也さんは、別れたいという意思を変えなかった。そして言った。「僕の見る目がなかったね。君を誤解していたみたい。美人だけど、古風な人だと思っていた。そこが好きだった。女を売るような仕事をする人と、家族になる自信はない。僕の家族も嫌がると思うしね」

◆差別ではなく、好みの問題

 かつて、女性アナウンサーが、ホステスのアルバイトをしていたことを理由に内定を取り消され、会社を提訴する事件があった。そのとき、その会社に対し、職業差別だという批判の声が挙がった。リサさんとの「結婚取り消し」について、和也さんはどう考えているのか。話を聞くことができた。

「誤解していただきたくないのですが、僕は、水商売という仕事に差別意識は持っていません。だから、水商売をしていたからといって、就職差別はあってはならないと思う。ただ、自分の妻には嫌なんです。それは好みや価値観の違いであって、差別ではないのではないでしょうか。

これは想像に過ぎませんが、あのまま付き合い続けていても、結局、別れていたんじゃないかな。僕も結婚に焦っていて、彼女の中身がよく見えてなかったと反省しているんです」

 好みや価値観の相違が、結婚前に明るみになってよかったと考えることもできるだろう。しかし、あの一夜がなければ、二人は幸せな結婚を送っていたかもしれない。

 リサさんはキャバクラで働いていたことに後悔はないし、恥じる気持ちもないという。ただ、次に付き合った人には自分から告白するかと問うと、否定した。

「だって、自分の過去をすべて共有することはできないですよね? 水商売を否定されたことより、彼がそんなにも過去にこだわる人だということに、私はショックを受けました。今の私を見てくれていない。やっぱり悪い意味で保守的な人だったんですね。次は未来志向の人と出会いたいです」