■売上営業利益率が6.7%に低下

 安川電機(6506)は11日大引け後、2020年2月期第1四半期(3月〜5月期)決算を発表。売上高は前年同期比16.2%減の1,074億4,300万円、経常利益は同58.6%減の69 億3,300万円、純利益は同70%減47億1,100万円だった。

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 通期予想に対する進捗率は、売上高が23.1%、経常利益が14.4%、純利益が13.5%と低水準な結果となった。売上高営業利益率は前年同期の13.4%から6.7%と低下し、収益性が悪化した。

■米中貿易摩擦の影響で、中国顧客による設備投資手控えが業績悪化要因

 安川電機による1Qの業績概要によると、モーションコントロール・ロボットを中心に減収減益となり、業績悪化に繋がったという。米中貿易摩擦拡大に伴い、米中企業の設備投資意欲が減退し、主力のACサーボや産業用ロボットの売上が前年よりも伸び悩んだことが要因だ。

 一方太陽光発電用パワーコンディショナの販売が好調で、システムエンジニア事業は前年同期比22.7%増の146億円の売上高を計上。営業損失も前年同期のマイナス4億円からマイナス2億円と改善した。

■半導体製造装置需要は減退も、自動車関連の需要増

 これまで半導体製造装置の需要が急増したことで業績を牽引してきた安川電機だが、半導体製造装置需要に足止めを食らっている。米中貿易摩擦がグローバルな影響を及ぼし、設備投資に対して慎重な姿勢を見せる企業が増えた。

 一方、国内と欧州向けの自動車関連での需要は堅調に推移し、仕向先別売上高構成比で、国内は31%から35%、欧州は13%から15%と構成比を引き上げた。しかし、各地域で前年同期を下回っており、引き続き外部環境の変化に業績は影響を受けそうだ。

■通期業績は据え置きを発表

 不調な1Qであった安川電機だが2020年2月期の通期業績予想は据え置いた。売上高は4,650億円(前期比2%減)、経常利益が480億円(同5.6%減)、純利益は350億円(同15.0%減)と予想は変更せず、今期後半は工場省人化の需要が増加するとのシナリオを示している。

 しかし、安川電機を取り巻く環境は事前想定よりも悪化しているとの指摘もあり、業績予想の下方修正リスクは否めない状況だ。9日発表の6月の工作機械受注額は前年同月比38.0%減の988億円と、好不況のボーダーである1,000億円を2016年10月以来割り込んだ結果となった。

 工作機械メーカーの業績は外部要因から来る影響が強いため、安川電機が想定しているシナリオが予想通りに進むかが鍵となるであろう。