42年目のボイジャーまだまだ現役・Amzon Musicユーザー大幅増・1000ドルの激安LiDAR : #egjp 週末版173
週末のニュースをいくつかダイジェストでお届けします。今回は「42年目のボイジャーまだまだ現役継続」「Amazon Musicがユーザー大幅増」「ロシア、最新のブラックホール探索宇宙望遠鏡打上げ」などの話題をお届けします。

NASA、42年目のボイジャーの現役を継続


42年前に打ち上げられたNASAのボイジャー1号および2号は、太陽圏を飛び出してさらに遠ざかっている現在もまだ生きています。しかしすでに原子力電池はその出力は40%ほど低下。今後も管制との通信や機能を維持し続けるために一部コンポーネントの機能を犠牲にせざるを得なくなっており、ミッションマネージャーは最近、ボイジャー2号の新しいパワーマネージメントプランのために、宇宙線サブシステム(CRS)のためのヒーターを切りました。

このCRSは太陽からもしくは太陽系外の源からも速く動く粒子を検出するように設計され2018年11月にボイジャー2号が太陽圏を脱出する際に大きな役割を果たし、いまもボイジャーの周囲状態を知るのに役立っています。したがって、その機能を維持するためのヒーターを切ることに関してはNASAの内部でもかなりの議論があったとのこと。

ただ、CRSはこの探査機からみえるほんの1方向を"覗き見ている"だけであり、チームは最終的にはこれを犠牲にしてもかまわないとの判断に至りました。そして幸いにも、実際にヒーターをオフにして23℃から9℃に温度が低渇した状態でも、CRSはデータを送り続けてきました。

NASAのエンジニアは、今後数年間はボイジャー1号および2号が星間空間でデータを収集し続けると考えており、そのデータ取得作業は将来はIMAP(Interstellar Mapping and Acceleration Probe)ミッションが引き継ぐことになるはずです。

FBIがSNS監視強化を計画


アメリカ連邦捜査局(FBI)が7月8日、新たなソーシャルメディア監視ツールの契約のための提案要求(RFP)を公開しました。その文書に寄れば、この警察機関はテログループや米国内の犯罪活動などを監視する「早期警戒ツール」を求めているとのこと。

このツールの要件は、調査対象となる人物のソーシャルメディアにおけるあらゆる活動へのアクセスをFBIに提供するものであるとされます。具体的にはツールを使うことによってメールアドレス、各種サービスのユーザーID、メール、IPアドレス、電話番号などをFBIは取得可能になるとのこと。

つまりユーザーのネット活動を素っ裸にする機能を有するわけです。ただ、RFPにはFBIが「あらゆるプライバシーや市民の自由に関する要件を確実に守る」と、上記要件にそう反する文言も見られます。

トランプ政権はSNS監視が大好きなようで、2017年には国土安全保障省(DHS)が米国への移民の入国審査の一部としてソーシャルメディアにおけるプロフィールに関連する情報や検索結果を収集しはじめ、アメリカ自由人権協会(ACLU)などの反発を買いました。そして2019年1月には、そのACLUから提訴されるに至っています。しかしその後3月には、今度は障害者手当プログラムに関して対象者のソーシャルメディアを監視することで不正受給のあぶり出しをするために社会保障局と協力していると報じられました。

たしかにSNS監視はユーザーの人となりをある程度知るのに役立つかもしれず、CIAも早くからSNSからの情報収集を行っています。ただ、そのためのツールが社会情勢の変化などにより、本来とは違う使いかたをされ始める可能性はないのかは大いに気になるところです。

Amazon Music会員急増中。Spotify上回る伸び率


音楽ストリーミングサービスのトップを走るSpotifyは今年4月、その会員数を1億の大台に乗せたものの、2018年の会員増加率は25%と鈍化しつつあります。一方Amazon Music Unlimitedは地味ながらその会員数は6000万人を数えるほどになり、2018年には約70%も増加しています。

Amazonは世界中で音声AIのAlexaを搭載するEchoスピーカーを販売しており、Amazon Musicもその普及に合わせる格好でユーザー数を延ばしてきました。Amazon Musicを率いるスティーブ・ブーム氏によれば、Amazon Musicのユーザーは、その14%ほどを55歳以上の年齢層が占めているとのこと。Spotifyではわずか5%にとどまる高齢層を取り込めていることが、成長を牽引しているようです。

さらに、Amazonはプライム会員向けにAmazon Music Unlimitedの月額を10ドルから8ドルに割り引く特典を用意しています。またEchoスピーカーのユーザーは、さらに月額4ドルでこのサービスを利用できます。さらに、Amazonはプライム会員なら約100万曲が無料で聴けるPrime Musicを提供しているため、まずこちらを試してから自然な流れでUnlimitedにアップグレードするユーザーも多そうです。

SpotifyとApple Musicが主役争いに気を取られている間に、Amazon Musicはその間口の広さと豊富な割引きで新規会員を誘引し、先頭に躍り出る可能性も、ないとは言えません。

ロシアがブラックホールを探索するX線宇宙望遠鏡を打ち上げ


ロシアの宇宙機関Roscosmosが、ドイツの支援とともに共同開発したX線宇宙望遠鏡Spektr-RGを打ち上げました。この宇宙機は約100かけて地球の外側100万マイル(約161万km)のラグランジュポイント2(L2)に移動します。

Spektr-RGは、予定する6年半の運用期間中に約10万の銀河団、数十万の非常に活動的な星々、そしておよそ30万の超大質量ブラックホールを調べる予定。それは宇宙の詳細な地図を作ることを可能とし、ブラックホールがどのように形成されるのか、宇宙の膨張に関する暗黒エネルギーの影響の理解などに役立つ可能性もあります。Spektr-RGははこの分野における遅れをリカバリーし、ロシア(とドイツ)をX線天文学の最先端へと導くはずです。

わずか1000ドルのLiDARが登場、量産自動運転車への組込み向け


多くの自動運転車がその機能を構成するために用いるLiDARは、非常に高価な品物でありながら、周囲の自動車や、横断する歩行者などを検知するために自動運転にとって必要不可欠とも言えるものです。

しかし、LiDARのネックはそのコストが非常に高いこと。LiDARメーカーとして名前が知られるVelodyne製のシステムが7万5000ドル(約810万円)ほどかかるとされるなか、7月はじめにGoogleの自動運転車開発部門Waymoが発売するとアナウンスしたオリジナルのLiDARユニットを7500ドル(約81万円)という価格で販売すると発表しています。

しかしTechCrunchによると、なんとセンサーおよびソフトウェアメーカーのLuminarはまったく新しいLiDARとなるIris LiDARシステムを発表、量産車向けのもので1000ドル(約11万円)以下、限定バージョンでは500ドル(約5万4000円)という、超バーゲン価格で売るとのこと。

Irisは従来のLiDARに比べても1/3ほどと非常にコンパクトなデバイス担っており、自動車のヘッドライトや、トラックのキャビン下などデザイン的にもスペース的にも目立たない場所に組み込むことが可能です。そして、そのハードウェアを制御するソフトウェアも提供され、「センサーの統合、自動較正、物体検出、識別、シミュレーション」までをカバーするとのこと。

Irisは、2022年頃よりメーカーの量産車に組み込んで出荷されることを想定しています。