韓ドラは今、“政治モノ”がブーム! 以前は敬遠されるジャンルだったが…なぜ? 

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韓国ドラマ界で、“金バッジ”に挑戦する主人公が増えつつある。

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日本でも大きな反響を得た映画『神と共に』にも出演したベテラン俳優、イ・ジョンジェの10年ぶりとなるドラマ復帰作が話題を集めている。

韓国JTBCで現在放送中のドラマ『補佐官−世の中を動かす人々−』(原題、以下『補佐官』)は、イ・ジョンジェ演じる国会議員の首席補佐官チャン・テジュンの活躍を描く政治ドラマ。“補佐官”という職業に焦点を当てて関心を集めたシリーズドラマで、放送序盤から「いずれは国会議員になる」というチャン・テジュンの野心が浮き彫りとなっていただけに、シーズン1の段階で大きな盛り上がりを見せた。

『補佐官−世の中を動かす人々−』

韓国で“金バッジ”は国会議員を表すバッジのことを指すのだが、主人公が金バッジを夢見るドラマは『補佐官』だけではない。

例えば、去る5月に最終回を迎えたドラマ『国民のみなさん』(原題、KBS2)だ。

『国民のみなさん』は、SUPER JUNIORのチェ・シウォン演じるベテラン詐欺師ヤン・ジョングクが、国会議員選挙に出馬するという前代未聞の政治ドラマ。真の国会議員に生まれ変わり人格的に成長してゆくヤン・ジョングクの姿には、多くの視聴者が心を打たれた。

特に、痛快な風刺劇を見事に演じたチェ・シウォンには、称賛の声が尽きなかった。『国民のみなさん』は、日本でもDATVにて8月に1話先行放送、9月から本格的に初放送される。

来る10月ごろの放送開始を予定している『偉大なショー』(原題、tvN)もまた、主人公が国会議員を目指すドラマだ。

『偉大なショー』は、元国会議員のウィ・デハンが再選出のために繰り広げる“偉大なショー”を描く。

日本でも大ヒットを生んだドラマ『秋の童話』でその名を知らせたソン・スンホンが主演を務めることで、早くも話題を集めている。

『国民のみなさん』

このように、最近の韓国ドラマ界では国会議員を目指す主人公が勢いを増している。

これまで代表的とされていた医師、検事、警察といった主人公の職業の後を継ぐかのように国会議員をテーマとした作品が増えている状況だ。

常に新鮮さが求められるお茶の間というプラットフォームで、現在は国会議員というキャラクターがもっとも視聴者と距離を縮めているようだ。特に、前述の『補佐官』の場合は国会議員というテーマにとどまらず、韓国ドラマとしては初めて議員補佐官を物語の前面に立たせたことで、視聴者に新鮮な魅力を伝えている。

ある関係者は、現在の“政治ドラマブーム”についてこう分析した。

「視聴者が政治を見つめ直している社会像を反映しているようだ。以前までは、政治ドラマをやること自体が容易ではなかった。風刺劇や政治を批判するような内容は、制作者にとって大きなプレッシャーを感じる分野であったからだ。

しかし、今は政治の風土が大きく変わったことに加えて、視聴者のドラマの楽しみ方そのものが変わってきている。“検事ものドラマ”が社会風刺劇の痛快な面白さを伝えた前例があるように、国会議員が中心に立つドラマは、現在の政治を批判する内容が視聴者から大きな支持を得るようだ」

しかし、政治ドラマは視聴率が予測できない点がリスクとなる。10〜20代の若年層は政治に対する関心が落ちるなど、“相対的に見て、すべての人に楽しみを与えるような内容ではない”という事実を否定できないからだ。

別の関係者は、「ドラマが面白いと評判を呼んでも、放送途中から内容を把握することが困難なテーマであるため、視聴率の上昇効果が見込めない恐れがある」と話している。

いずれにしても現在、韓国ドラマ界で話題を集めている政治ドラマ。話題性や視聴率含め、今後の反響が気になるところだ。