普段は店から漏れるピンク色の光が溢れる飛田新地だが、G20期間中は街灯の光だけが寂しく浮かんでいた

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外国人観光客の間で繰り広げられた日本最後の遊郭の「性サミット」 


普段は店から漏れるピンク色の光が溢れる飛田新地だが、G20期間中は街灯の光だけが寂しく浮かんでいた

 大興奮で店から出てきた、20代のアメリカ人男性旅行者が言う。

「G20が開かれるオオサカのことをネットで検索しているうちに『トビタシンチ』を知り、どうしても見てみたくて来日したんだ。アメイジングだったよ! こんな独自の色と文化をもった場所は世界中どこにもない。女の子のレベルも世界一だ! 今日は4万円も使ったけど、大満足さ! YouTubeやブログで紹介したら、すごいアクセス数になると思うよ」

 関西中が規制だらけとなったG20の余波は、日本有数の歓楽街「飛田新地」(※)(大阪市)にまで及んだ。

 組合に加盟する159店舗すべてが、G20期間の6月28〜29日に完全休業。その2日間を除く21〜30日の8日間も、女性が玄関先に並ぶ名物の「顔見世」を自粛し、店内の様子を隠すためののれんをかけて営業した。

「全店休業は昭和天皇の崩御以来だから、30年ぶり。その時でも自粛は半日でしたから、2日間の全面休業は史上初です。1週間以上のれんで店内を隠すという試みも記憶にない。ただ、お上から圧力がかかったということはありません。街の景観を崩さないために、あくまで組合が自主的に自粛することにしました」(飛田新地料理組合関係者)

 本誌は史上初の事態に大きく揺れた現地を訪ねた。通りを歩いてまず驚かされたのは、外国人観光客の多さだ。近年急増している中国人だけでなく、欧米人の姿もある。

「オンナの子にもよりますが、少し前から外国人の客も取るようになりました。客の3割くらいは中国人。長い時間で入るけど内容は淡白やからオンナの子たちも楽。正直、中国人の売り上げがなくなるとかなり厳しい」(料亭経営者)

 G20による自粛営業のあおりを最も受けたのは、働く女性たちだろう。ある料亭の女性は、こう怒りを露(あらわ)にした。

「ウチらはG20なんかどうでもええ。休むなら休む、開くなら開くではっきりしてほしかった。のれんをかけて自粛営業という中途半端な組合の判断に、オンナの子は怒ってた。お店側から『頼むから入って欲しい』と言われて、イヤイヤ出勤した子が大半やわ」

 しかし、そんな女性たちの気持ちとは裏腹に、G20期間中は飛田新地に空前のバブルが訪れたという。

「どんなに人気がある子でも、客の数は一日10〜15人程度。フツーの子だと稼ぎはだいたい10万円くらいかな。でもG20の間は、普段の倍以上の客が来た。外国人もメッチャ多かった。中国人だけじゃなくて、世界中から。みんな店の中をキョロキョロ見回しながら楽しんでた。休憩する時間どころか、タバコ1本吸う時間もないくらいの忙しさで大変やった。オーナーも、『お盆と正月が一緒に来た』と興奮してたもん。ただ、言葉も通じない外人をいっぱい相手にするのはホントに疲れた……。結果的に稼げたけど、もう二度とG20は来なくてええわ」(同前)

 各国の首脳が集まったG20の裏で、飛田新地では外国人観光客による『性サミット』が開催されていたのだ。

※大正時代に日本最大級の遊郭が築かれた。現在も「ちょんの間」が存在し、性的なサービスをする"料亭"が通りに並んでいる

G20を応援するポスターが至る所に貼られていた。休業はあくまで、飛田新地の組合が自主的に行ったという

G20期間中は名物の「顔見世」は行わず、客がのれんをくぐると、女性たちが店の奥から出てくるシステム


PHOTO:高橋明大