「子どもが欲しい」50代初婚男性が直面する現実

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子どもは「生まれた日がゴールではなく、そこからがスタート」と認識して人生設計を立てていますか?(写真:Milatas/iStock)

結婚相談所の経営者として婚活現場の第一線に立つ筆者が、急激に変わっている日本の婚活事情について解説する本連載。今回のテーマは、「子どもが欲しい」と希望する50代以上の男性の婚活、その夢と現実についてです。

50代になっても「子どもが欲しい」と考える初婚の男性は少なくありません。しかし、子どもにこだわっていると相手の女性の年齢が限られてしまい、婚活は厳しいものとなります。

しかも、52歳で生まれたとすると、子どもが大学を卒業したときには70代です。そんな経済的に不安な人生設計を受け入れる女性は少ないでしょう。婚活成功のカギは、その点に気づけるかどうかです。

お見合いで「産んでくれるよね?」

研究職の男性Hさんも子どもにこだわる婚活男性でした。Hさんは、44歳から50歳までの6年間、ほかの相談所で婚活し200万円以上使ったと言います。「最後の砦」だと言って私のところに来ました。

来た当初も、やはり「子どもが欲しい」と主張していました。となると、理想のお相手は38歳くらいまでとなります。しかし、Hさんはとてもじゃありませんが30代の女性がお付き合いしたくなるような雰囲気ではありません。

50代初婚の婚活男性は2パターンに大別されます。ずっとモテなくて女性に縁がなかった人か、それなりに女性とお付き合いをしてきたけれども結婚の決心ができなかった人。Hさんは前者でした。


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Hさんには、現状のままでは30代女性とのご縁は難しいということを伝え、一度は「子どもはもういいです」と納得したのですが、いざお見合いをセッティングしたら、相手に「子どもを産んでくれるよね?」なんて口走ってしまいました。相手は「子どもは欲しいと思わない」という40代女性で、当然「話が違う」とクレームが来てしまいました。

そんな彼が半年かかってようやく婚活の現実を受け入れ、「子どもはもうほんとにいいです」と気持ちを切り替えた途端、40代前半の女性とのご縁が訪れ、今ご成婚に向かっているところです。

50代初婚の男性は、自分の“老い”に気がついていない男性が多いように感じます。50代といえば、早くに結婚していればすでに孫がいる男性もいます。奥さんのサポート、子どもの受験、子どもの結婚などさまざまな経験をし、子ども絡みのコミュニティーもたくさん持っている。

そもそも子育てをわかっているのか

十把一絡げには言えませんが、こうした男性と比べると、50代未婚男性は経験値や他人の気持ちを察する感覚を養う機会はどうしても少なくなりがち。デートのときに美術館に行って、チケットを買うために30分間、女性と前後一列に並び、まったくコミュニケーションを取らなかったという男性もいました。

テレビでは中年や初老の有名人が若い女性と結婚する「年の差婚」が当たり前のように報じられているので、「自分もできるかも」と思ってしまうのでしょうが、芸能人や企業社長とは経済力や経験値、インテリジェンスがまったく違います。若い女性を引きつける魅力が必ずあるのです。

50代になるまで誰か他人と一緒に暮らし、その人を扶養したり、お世話をしたことがないにもかかわらず「子どもが欲しい」という男性には、そもそも「子どもを育てられますか?」と聞きたいですね。子どもの前にまず奥さんのいる生活に慣れるまでに、1〜3年かかると思います。夫婦としての生活を充実させることが先決ではないでしょうか。

「子どもが欲しい」という意味は、「自分の子どもを残したい、血を残したい」ということなのでしょうが、子どもは生まれた日がゴールではなく、そこからがスタート。50代で育てるのは容易なことではありません。

「甥っ子や姪っ子がいるのでそんなことはわかってる」という人がいますが、甥や姪のかわいい姿しか見ていないですよね。夜中におむつを替えたり、熱が出て3日も4日も看病したり、雨の日も保育園に送り迎えしたり、学校でいじめられたり、といったことを体験していないですよね。自分の子どもは、そうした困難も含めて成人するまで責任を持って育て上げなければなりません。

若い奥さんと子どもをまるでセットのように捉えていて、自分が育児に参加することを考えていない男性はとても多い。奥さんができたらご飯をつくってもらいたい。子どもを産んでほしい、育ててほしい、そういう“ドリーム”しか考えていないんです。

誤解を恐れずに言いますが、本当に子どもを育てたければ、乳児院にいる子を養子縁組して夫婦で育てることも選択肢としてあるのではないでしょうか。血がつながっていなくても愛情をかけて育てることは尊いことです。「子どもが欲しい」という気持ちを「子どもを育てて社会貢献したい」に変えてみてはどうでしょうか。そう提案しても、残念ながら受け入れる人はほぼいないのが現実ですが……。

「奥さん」というより「長女」

50代で子どもを持つことには経済的な負担も大きい。晩婚で子どもを産んだ人のその後を考えたことはありますか。ある晩婚夫婦は、夫の年収は450万円、妻の年収は100万円でした。加えて、不妊治療を始めて2人の貯金1000万円を使い果たしてしまった。

子どもを授かった後の学費、自分たちの老後の資金などは考えていない。初婚のせいか、50代でも気持ちは20代。結婚したから子ども、という目先の幸せしか考えていないのです。

仮に、無事に子どもを授かりしっかり育て上げたとしましょう。それでめでたし、ではありません。その先に年の差婚の過酷な末路の可能性を想像したことはあるでしょうか。奥さんはある程度子育てが終わってもまだ40〜50代。男性は70〜80代です。

奥さんにしてみればもう子育てにお金は必要ない。離婚して自由になりたい、あるいはもう1回結婚したいと考える女性もいるのです。「奥さんに介護をしてもらおう」なんて考えは持つべきではありません。

30代と結婚したある50代男性には、「奥さんを奥さんだと思わないでね、長女だと思ってね」と伝えました。奥さんに甘えるのではなく甘えさせてあげる、その感覚がないと年の差婚は難しい。仕事をしている女性であれば、駅まで車で送り迎え。そうして娘のように愛情たっぷりに尽くしてあげなければ、将来どうなるかわかりません。

それでも、どうしても若い女性と結婚して子どもが欲しいですか?