GLAY・TAKUROが7日、東京・羽田空港内の「LDH kitchen THE TOKYO HANEDA」にて『GLAY TAKURO Live in HANEDA “Journey without a map 2019”』公演をおこない、ロマンティックに七夕の夜を彩った。レストランでの食事とお酒・ドリンクに、空港の圧巻の風景――。TAKUROは“Journey without a map=地図なき旅”と銘打つ通り、旅の出発点ともなる羽田の地でロマンティックにライブを披露した。二部構成の夜の部では、七夕というこの日ならではの演奏も披露し、スペシャル感溢れる一夜を演出してくれた。【取材=平吉賢治】

「七夕の夜を最高の思い出に」

 食事やドリンクを楽しみながらTAKUROの音楽を近距離で味わえる――。そんな贅沢で大人びた空間は、七夕の夜をロマンチックに演出した。

 落ち着いたレストランの雰囲気に、窓の外は羽田空港の飛行機の眺め。“Journey without a map=地図なき旅”のコンセプトに寄り添うような絶好のロケーションのなか、ライブは滑走路を走り出す。

 1曲目の「Swingin' Tokyo 2020」が演奏されると、TAKUROの甘いトーンのギタープレイ、グランドピアノにサックスの音色が、生音メインで会場中にふわりと広がる。ジャジーなドラミングとウォーキングベースで揺れるスウィングビートが芳醇に聴き手を包み込む。オレンジとパープルの照明はTAKUROバンドのアンサンブルを見事に表したようなコントラストだった。

 少しテンポを上げてライブは離陸するように飛び立つ。TAKUROは実に楽しそうな表情で、米澤美玖(Sax)とリードプレイを重ねる。あらゆるビート展開をみせ、音の花を次々と咲かせる「Timeless Wonder」。メンバーと寄り添うように演奏するTAKUROは紳士的に、ときに熱く、彩り溢れるパフォーマンスを魅せた。

 MCではtatsuya(Pf)の伴奏でTAKUROがしっとりと歌う場面も。若干の小話的なスパイスも効かせたボーカルで、笑いの花もしっかり咲かせた。TAKUROは楽曲・演奏・トークと、あらゆる面で音楽愛をのぞかせ、華やかな一夜を徐々に作り上げていった。

 「北夜色 Port Town Blues」ではグッとテンポを落として、石井ゆかこ(Ba)のアップライトベースのプレイが観客の心を優しく揺らす。ブルーとローズレッドの光が揺らめくなか、TAKUROのジャジーなギタープレイが一音一音、体に染み入る。羽田空港から旅立つ飛行機の景色とシンクロし、今夜の音楽の旅を優しくアテンドしてくれた。

TAKURO自身を表すような色気の音

TAKURO(撮影=玉井信吾)

 「今日は素敵な仲間が来てくれました」とTAKUROが紹介したのは、トランペット奏者・YOKAN。「TM St. 2am」でのTAKUROの滑らかなギターソロからバトンを渡されるようにしてプレイするYOKANは輝かしく、慎ましく、これまでのアンサンブルに更なる色彩を添える演奏を魅せた。同曲中に鮮烈なドラムソロを披露したTOSHIのプレイは安定感抜群、終始頼もしいプレイでTAKUROバンドを支えていた。

 意気揚々としたサックスソロから続く「Istanbul Night」では、TAKUROのトリッキーな音使いのギタープレイがライブの味わいを更に深めた。さりげない隠し味となったワウペダルによるギタートーンは耳を撫でられるような心地良さだ。ギターアンサンブルを支える江畑コーヘー(Gt)のプレイは熱意あり、妙技ありの巧みでカラフルなアプローチ。TAKUROとのギター・ハーモニーの美しさは秀逸の一言だ。

 大人な雰囲気の一夜だが、TAKUROのテンションが心地良く上がっているのが実によく伝わってくる。演奏はもちろん、「もっと愛しちゃっていいですか?」「もっと×5」というコール&レスポンスが湧く店内は、ホールやライブ会場とはまた違った味わいの熱気に溢れていた。

 ベースソロから繋がれた「RIOT」はストレートな3コード展開にダンサンブルなアンサンブル。意気揚々と乗るTAKUROのギターソロは強さと優しさ、そして紳士的な物腰にちょっぴり遊び心、TAKURO自身を表しているような音の連なりを堪能させてくれる。

 今夜の本編最終曲となる「SARAH 派手にやれ!」では、何通りかに曲構成が分かれているような豪華アレンジの演奏を披露してくれた。「この素晴らしい空間の食事とお酒と風景を楽しんでほしいと思います」と、TAKUROは観客に伝えたが、これには食事よりも風景よりも、一糸まとわぬ音楽愛が重なった演奏に会場中が釘付けになるようだった。

「みなさんの願いが叶いますように!」

 アンコールに応えたTAKUROはグランドピアノと共に「七夕さま」をインプロビゼーション混じりに演奏。馴染みのあるメロディをギターでソフトに奏でるTAKUROの姿と、七夕というこの日の景色、「七夕さま」のロマンティックな演奏は、きっと今夜限りだろう。TAKUROからの、ずっと忘れられない素敵な思い出をプレゼントしてもらったようだった。

  そしてラストは、口づさめるほど耳に馴染むメインメロディが映える「SOUL FRIENDLY」。TAKUROの情念がダイレクトに音に昇華されたようなリードプレイが会場中に拡散し、トランペットとサックスとのリードプレイと華麗に混じり合う――。

 「こんな素晴らしい仲間と今日という日を過ごせたことを本当に幸せに思います。そして、今日、この日が、みなさんと一緒で良かった!」

 TAKUROは颯爽とした笑顔でそう伝え、この日の“地図なき旅”は綺麗に着地した。「みなさんの願いが叶いますように」というTAKUROの言葉は、今夜のロマンティックな演奏が頼もしく後押ししてくれるようだ――。

セットリスト

『GLAY TAKURO Live in HANEDA “Journey without a map 2019”』
7月7日@東京・羽田空港内『LDH kitchen THE TOKYO HANEDA』

01. Swingin' Tokyo 2020
02. Timeless Wonder
03. 北夜色 Port Town Blues
04. TM St. 2am
05. DANDY MAN
06. Istanbul Night
07. RIOT
08. SARAH 派手にやれ!

ENCORE

EN1. 七夕さま
EN2. SOUL FRIENDLY