【春日学園少年野球クラブ】練習は週に半日、新しい形を目指す少年野球チーム(後編)

写真拡大

わずか週1回、半日の練習で活動しながら、着実に結果も残しているという春日学園少年野球クラブ。その指導は筑波大学大学院でコーチングを学ぶ学生が行っており、練習だけでなく試合での選手起用まで権限を与えられているという。そんな今までにない形のチームである春日学園少年野球クラブの練習レポート、後編をお届けする。

あらゆる種類のアップ、ダッシュから始まった春日学園少年野球クラブの練習。前編でも触れたキャッチボールについてもまだ続きがあった。

ある程度の距離まで広がった後に行ったのはあえてノーバウンドで投げないというもの。相手にとって捕球しやすいところに投げるのではなく、バウンドも不規則になるように良い意味で『適当に』投げ、そのバウンドを捕球するというものだ。軟式のボールは特にバウンドが大きいため前後の判断が重要になってくるが、その感覚を養うのに効果がある練習だという。

その後に行ったのはフライを投げあうもの。これは受ける側の感覚ももちろんだが、投げる選手がどの程度力を入れてどれくらいの角度で投げればどこまで飛ぶかという感覚をつかむのに役立つそうだ。ちなみに4年生以下の下級生チームは捕球しやすいゴロの練習を行っていた。まずは簡単に捕球できるボールを練習するところからスタートし、徐々に難易度を上げていくそうだ。

その後は塁間よりも少し短い正方形を作り、そこで行うボール回しを右回り、左回りの両方向で行う練習。どこにボールを投げれば相手が次のプレーに移りやすいかということをコーチが伝えながら行っていた。更に実際に捕球する選手以外に対しても、どこからボールが飛んできて、カバーはどこに入ったら良いかということを考えるように促していた。野球の基本はキャッチボールと言われるが、ただ正確に投げる、捕るということを繰り返すのではなく、ところどころに遊びの要素を入れながら実際のプレーに繋がるように工夫されていることがよく分かる練習だった。

ボール回しの後は上級生チームは実戦形式の練習。下級生チームはバッティングと守備練習を実施。最後にそれが入れ替わってこの日の練習は終了となった。

実戦形式の練習で特徴的だったのが、何人もの選手が投手を務め、またポジションも本来の守備位置ではない選手が多くいたというところ。岡本代表の話では、一人の投手に負担がかからないようになるべく多くの選手が投手ができるように練習しているという。また、自分の普段やっているポジション以外を守ることで新たに気づくこともあるそうだ。子どもの可能性を限定するのではなく、広げるという意味では非常に面白い試みと言えるだろう。

もう一つ練習中で気づいたのが、大人が怒鳴るような場面が一切ないというところ。逆にコーチが子ども達によく声をかけていたのが、『(プレーが)上手くいったらみんなで言ってあげて!』というもの。

クラブの決まりとして「罵声の禁止」というルールを設けているとのことだが、失敗ではなく成功に目を向けるというコーチングの方針が徹底されていると感じた。しかし決して遊んでいるのではなく、子ども達の動きもダラダラしたものではなかった。岡本代表によると「ダラダラ」でも「ピリピリ」でもなく、「ピリ」くらいの雰囲気を目指しているということだったが、それがよく分かる練習の光景だった。

週1回、半日のみの練習というのは少年野球チームでもかなり短いものだが、その内容は非常に狙いの分かりやすいものだった。今後、このような取り組みをするチームが増えてくれば保護者の負担も子どもの負担も減り、野球人口の減少への効果も見込めるのではないだろうか。そんなことを感じる春日学園少年野球クラブの練習だった。

(取材・撮影:西尾典文)