まるで大学のゼミ!?選手が「課題研究」してプレゼン!熊本西の独自な取り組み(前編)

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全員が地域の軟式野球部出身。それでも昨秋の熊本大会で準優勝し、創部43年目で初出場した九州大会でベスト8に進出。その実績と快進撃の過程が高く評価され、今春のセンバツに21世紀枠で出場した熊本西。強打の智辯和歌山の前に初戦敗退を喫したが、1985年夏以来となる甲子園の出場でチーム力は格段に向上し、センバツ出場校推薦で出場した春の九州大会では学校史上最高のベスト4まで勝ち進んだ。

熊本市西部に位置する普通公立校の大躍進は、横手文彦監督をはじめとする4人の指導者が施した様々な工夫によってもたらされた。その大きな3本柱がチームワークと感謝の心を養うための「アルバイト」、野球普及と地域への還元を目的とした「ティーボール教室」、そして「課題研究」と呼ぶプレゼンテーションだ。貴重な練習時間の一部を割いて行なう部員による研究発表は、何を熊本西野球部にもたらしたのか。まずは事の発端から辿る。

「“他人事から自分事へ”ということですね。学校では先生から、家では親から言われて行動に移す。そういうサイクルを変えたかったのです。前任の宇土では文部科学省からSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受けて、生徒が研究テーマのプレゼンをするという授業を行なっていました。そこで生徒がどんどん変わっていく様を目の当たりにしたのです。これをいつか野球でも活かしたいと思っていました。今年のチームはそういうことができるチームだと思ったし、夏に2年連続初戦敗退を喫したことで、私個人としての限界を感じてもいました。そこで生徒の力を借りよう、スタッフの力を借りようという思いから企画したのが課題研究です」(横手監督)

まず、横手監督らスタッフが大まかなルールを形作った。部員は学年と氏名を名乗り「動機、結果予測、結論」の流れに沿って各自の研究テーマを発表。その後、質疑応答が行なわれ、質問者は発表に対する謝意を述べ、学年と氏名を名乗ったのちに質疑に入る。元村峻吾副部長がサンプルを手作りし、プレゼンシート作成用アプリを全部員に紹介。さすがにケータイを用いた作業だけあって高校生の呑み込みは早く、中にはプレゼンシートに動画をはめ込む部員も。

課題研究のテーマは部員独自で設定する。そのテーマも千差万別で、技術論、栄養学、体の構造について、または気象や現象をテーマにする者もいる。例を挙げると次のとおり。

「体重を増やす方法」、「甲子園の広さ」、「球場をホームグラウンドにする方法〜審判と観客を味方に付ける心理学〜」、「甲子園の魔物とは」、「走塁時に使う筋肉と鍛え方」、「走り方で速くなれる〜野球の走り方と陸上の走り方の違い〜」

第4回の課題研究プレゼンテーションが行なわれた6月18日は、発表されたテーマが「股関節の柔軟性」、「21世紀枠候補校から夏の甲子園に出場したチームの軌跡を探る」、「バッティングは目が命」の3本。それぞれが各自で作成し、プロジェクターで映し出された画像、動画に沿って研究成果を発表していく。(取材・写真:加来慶祐)

後編では選手たちが発表した研究課題を詳しく紹介します。