ジャニーズ事務所の社屋

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 9日に87歳で死去したジャニーズ事務所社長のジャニー喜多川さんには、独特の言葉遊び感覚があった。ヒット曲を生み出すためには、タイトルはもちろん、歌詞の細部にまでこだわる反面、言葉の羅列による「感覚的な響き」を重要視した。

 ジャニーさんが生前、「よくよく考えると意味が分からない曲名もありますよね」と一例を挙げて解説したのは、近藤真彦(54)の第4弾シングル「ギンギラギンにさりげなく」(1981年発売)。直木賞作家の伊集院静氏(69)が「伊達歩」のペンネームで作詞し、筒美京平氏(79)が曲を付けた。「タイトルは矛盾していますよね。『ギンギラギン』なんて一番派手そうなのに、それでいて『さりげなく』だなんて。でも、その組み合わせが受けましたね」と得意げに明かしたことがある。象徴的なヒット曲を得たマッチは、この年の日本レコード大賞最優秀新人賞に輝いた。

 マッチ作品では翌82年発売の「ふられてBANZAI」(作詞松本隆氏、作曲筒美京平氏)に対しても、「好きな子にふられて喜ぶっていうのも…」と矛盾しつつも、言葉を選んだ感覚を指摘していた。

 同じ「たのきんトリオ」として、先に売り出した田原俊彦(58)についても、曲のタイトルには相当こだわったという。米国曲をカバーした80年のデビュー曲「哀愁でいと」(日本語作詞小林和子氏)は、「本来なら“デート”とするところを平仮名にした上、『―』をわざと『い』にしたんです」とエピソードを披露。続く第2弾「ハッとして!Good」(作詞、作曲宮下智氏)については、「一見、曲名だけからは何の意味があるのか分からないかもしれません。『ハッと』に続く『Good』の響きがよかったんですね」と説明。翌81年発売の第3弾は「恋=DO!」(作詞小林和子氏、作曲小田裕一郎氏)と表記して、「こいはドゥ」と読ませた。

 プロデューサーとしてのジャニーさんは、ヒット曲への言葉選びについて、「何かの意味があるようで実はないような。それでいて深読みしてしまいそうな。ただ、いずれも言葉を並べた時の響きはいいんですよね」と、よく力説した。その最たる例は、フォーリーブスの77年のヒット曲「ブルドッグ」(作詞伊藤アキラ氏、作曲都倉俊一氏)だ。「“ニッチもサッチもどうにもブルドッグ”って…いったい、どんな状況なのか」と笑いながら振り返っていた。