月額4万〜9万減でおさまらない(根本厚労相)/(C)日刊ゲンダイ

写真拡大

 年金が大きな争点になっている参院選。安倍首相がさかんにアピールしているのが、年金積立金の運用益だ。「安倍政権で運用益は44兆円も増えた」「民主党政権の10倍だ」……。ところが、足元の18年度の運用益は、予想以上の低さなのだ。

安倍政権“運用益44兆円”の危うさ 年金原資で株ギャンブル

 参院選公示翌日の5日、年金積立金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、18年度の運用実績を発表した。2兆3795億円の黒字で、運用利回りは年率1.52%。3年連続の黒字で、何だか順調っぽく見えるが、大間違いだ。

 厚労省が5年前に示した「財政検証」によれば、18年度のGPIFの名目運用利回りは、〈年率3.1〜2.4%〉の幅で想定されている。最悪でも年率2.4%で運用することになっている。2.4%を下回ると、年金制度の維持が難しくなる。つまり、安倍政権の実績である1.52%は最低ラインに遠く及ばず、自慢できるような黒字ではないのである。最低ラインをも下回るようでは、将来の年金支給水準はいっそう引き下げられる。

■月額4万〜9万円減でおさまらない

 現在、現役世代の収入に対する年金受給額(夫婦2人世帯)の所得代替率は、62.7%で月21万8000円だ。運用利回り2.4%などの悲観ケースでは、2036年に現行比4万円も減って、18万円(代替率50%)、2055年には9万円減って12.5万円(35%)になる。

 運用利回りが、最低ラインを下回れば、この先、年金は月4万〜9万円の減額でおさまるわけがない。

「18年度のGPIFの運用益は全体で黒字でしたが、日本株では2兆円の損失を出しています。海外の株高に助けられ、辛うじてプラスに浮上した格好です。GPIFは約160兆円もの年金を運用していますが、半分をリスクの高い株式に投じています。日本の株式市場も頭打ちで、世界経済も不安定な中、いつ株で大損を食らってもおかしくありません。本来なら今、引くタイミングですが、逆に、さらなる運用益を求めて株式投資の割合を増やす可能性もあります。ギャンブルで負けるパターンです」(金融ジャーナリスト・小林佳樹氏)

 安倍首相が過去の運用益をアピールしても、国民はみじんも安心できない。