塔南vs京都精華学園
今年度に野球部が創部された京都精華学園。選手20人、マネージャー2人のオール1年生で初の公式戦に挑んだ。指揮を執る竹内太朗監督はかつて北大津のコーチとして3度の甲子園出場に貢献した実績がある。ユニフォームは北大津を彷彿とさせる紫色が主体となっているが、紫色をチョイスしたのはやはり北大津の影響が大きかったと竹内監督は話す。
「師匠である宮崎（裕也）先生（現・安曇川高教諭）には直々にお会いして『紫頂きます』と言いました。自分を指導者として成長させてもらったところでもありますから」
鮮やかなユニフォームに身を包んで初陣に挑んだ京都精華学園の選手たちだったが、相手は昨夏8強の塔南。甲子園出場経験こそないが、安定して上位に進んでいる実力校だ。経験値に差のある両校は序盤からワンサイドゲームとなった。
塔南は京都精華学園の3投手から4回までに14安打、18得点と容赦なく攻め立てる。投げても先発の明石玲哉（2年）が3回まで一人も走者を出さない完璧な投球を見せて、付け入るスキを与えない。
何とか見せ場を作りたい京都精華学園は4回裏に一死から代打の石川勝也（1年）が四球を選んでチーム初出塁。パスボールで二塁に進むと、3番・横井川功樹（1年）がライト線への適時二塁打を放ち、記念すべきチーム初安打、初得点を記録した。さらに続く4番・石本皓大（1年）のレフト戦への適時二塁打で2点目を挙げる。その後、二死三塁となり6番・須藤喬裕（1年）の右前適時打でさらに1点を追加。一気に3点を返して球場は大歓声に包まれた。
コールド負けが濃厚となった5回裏にも横井川の適時打と相手の失策で2点を返して意地を見せた京都精華学園。22対5と大差のゲームとなったが、それ以上に将来への希望を感じさせる試合となった。
「点数を取られても前向きにやってくれました。（得点できたのは）最後まで前向きにできた結果だと思います。今日の結果を受け入れて、どうやったら上達できるのかを子どもたちと考えていきたいです。まだ第一歩を踏み出したところなので、次の第二歩に向けて積極的に何事にも取り組んでいきたいです」と試合後に話した竹内監督。力の差を感じつつも自分たちの力で5点を奪ったことは自信になったはずだ。
「秋は絶対に勝てると思って練習に取り組みたいです」と意気込むのは初代主将で4番を打つ石本。同じメンバーで戦う秋で公式戦初勝利を目指す。
勝利した塔南は9日の2回戦で北桑田と対戦する。エースの北��響生（3年）を温存できたのは今後を戦う上で大きいだろう。春は故障でスタメンを外れていた清水颯（3年）も4番捕手として復帰して、3安打4打点と自慢の打力を発揮した。悲願の甲子園出場に向けて戦力を整えてきた塔南が今年こそは頂点に立てるだろうか。
(文：馬場 遼）
